【三鷹市】三鷹中等教育学校──「本物に触れる」が生徒の土台と可能性を広げる
文部科学省が2024年度から進めているDXハイスクール。この施策により、多くの高校でICT環境がアップデートされている。一方で、採択されたものの、ツールをどう授業に取り入れるか、教員の研修時間をどう確保するかなど、試行錯誤が続く学校も少なくない。
【画像】東京都立三鷹中等教育学校(東京都三鷹市)
そうした中で、工業高校や専門学科ではなく、普通科のIT先進校として継続2年目を迎えるのが、東京都立三鷹中等教育学校(以下、三鷹中等)だ。同校では、高性能なICT機器を活用し、理数・情報科目にとどまらず、すべての教科や探究活動で生かせる環境を築いている。本稿では、同校が導入した製品や取り組みを紹介する。
ℹ️DXハイスクール
文部科学省が2024年度に開始した高等学校DX加速化推進事業。高等学校段階から、デジタルや理数分野など成長分野を担う人材育成の強化をめざす。採択校には取組内容に応じて補助金が交付され、初年度は1,010校、2年目は1,191校が採択されている。
■ 高校生であっても、大人が使う本物に触れる
三鷹中等は、中学から高校までの6年間を通して学ぶ完全中高一貫校。同校では、GIGAスクール構想前から東京都による1人1台端末の実証研究に取り組んできた先進校で、現在はICTのみならず、「探究」や「国際教育」といった領域でも様々な指定校に選ばれ、特色ある教育を行っている。
端末環境としては、Microsoft Surfaceシリーズを1人1台端末として採用し、学習や学校生活のプラットフォームにはMicrosoft Teamsを活用している。中高一貫校であることから、特にICTに力を入れていると思われがちだが、あくまでも普通科として学習指導要領に沿った授業を実施。中学1年生からICTを「日常の道具」と位置づけ、学校全体として活用しているのが特徴だ。
そんな三鷹中等におけるDXハイスクールについて情報科の能城茂雄先生は、ITの専門家を育てるのではなく、普通科の生徒がどのような経験を積むべきかを重視していると語る。
こだわっているのは、高校生であっても「大人が使う本物に触れる」ということ。中高生でも高性能なスマートフォンを持つようになった今だからこそ、「学校に来れば本物のICT機器がある環境」を作りたいと話す。
「例えば、スマートフォンでも動画を撮ることはできますが、生徒たちがデジタル一眼レフカメラと三脚を使って本格的な撮影を経験することができれば、ICTに対する興味・関心や感性をさらに高めることができるでしょう。本物の機材に触れたことで、それが素養となり、異なる価値を知ることにもつながります。食事をしておいしいと感じるには、おいしいものを食べた経験が欠かせないのと同様に、ICT機器も本物に触れた経験があるからこそ違いがわかり、ICTに対する理解が深まると考えています」(能城先生)。
■ 生徒が自由に使える、2つのラボ「メディアラボ」と「STEAMラボ」
こうした考えのもと整備されたのが、主に情報の授業で活用される「メディアラボ」と、高性能PCから3Dプリンター、3Dスキャナまでを揃えて高度な創作ができる「STEAMラボ」である。主にはDXハイスクール事業の補助金で整備されたものだが、一部、それ以外の予算で整備されたものも含まれる。
□メディアラボ
メディアラボは、情報の授業で使⽤する40台のPCが並ぶほか、教室後⽅にはマウスコンピューターの⾼性能PC「DAIV-DGZ530S3-SH2-VR」が8台配置されている。8台のPCは、Core i7プロセッサ、32GBメモリー、GeForce RTX 2060 Superなどを搭載しており、50TBのNASを含め、10GbpsのネットワークでLANが構成されている。Adobe Creative Cloudを使った映像や画像の編集、データ処理など、負荷の⾼い作業も⼗分対応できる。
モニターは、iiyamaの31.5型4K液晶ディスプレイ「ProLite XB3288UHSU」を採用し、高精細な映像編集やデザイン作業も視認性高く行える環境だ。
また、三鷹中等では全生徒にAdobe Creative Cloudコンプリートプランのライセンスを付与しており、Photoshop、Illustrator、Premiere Proといったプロも使用する映像編集ソフトを学校や自宅で使用できる。メディアラボには、SONYのデジタル一眼カメラや三脚もそろっており、生徒は自由に利用可能。撮影した動画をPremiere Proで編集しているという。
さらに、高性能PCの周辺機器としては、SONYのモニターヘッドフォン「MDR-CD900ST」が用意されている。同製品は音楽業界ではレコーディングの定番機で、人気YouTube番組「THE FIRST TAKE」でも使われているモデルであることから、生徒の認知度も高いという。「プロも使っている機材を手にすると、生徒たちの気持ちがぐっと高まるようです」と能城先生。
ちなみに、ヘッドフォンスタンドは生徒の発案によるもの。「これは良いヘッドフォンだから、直置きはやめてスタンドを作りたい」という声が上がり、3Dプリンターを使って制作したという。
□STEAMラボ
一方、校舎の一角に設けられたSTEAMラボには、Core i7プロセッサ、GeForce RTX 4060、32GBメモリを搭載したサードウェーブの高性能PC「GALLERIA RM7C-R46-C」と、デュアル4Kモニターを組み合わせたセットが4台配置されている。映像編集や3Dモデリングといった高度な処理を必要とする作業にも十分対応できる環境で、生徒が創作活動に本格的に取り組める設備となっている。
キーボードにもこだわりがあり、PFU製の高品質キーボード「Happy Hacking Keyboard」が並んでいる。能城先生は「PC本体はどうしても数年で古くなりますが、ヘッドフォンやキーボードといった周辺機器は長く使えます。こうしたものにDXハイスクールの予算を使うのも有効だと考えています」と話す。
STEAMラボにはほかにも、3Dプリンターや3Dスキャナーなど、デジタルものづくりにも挑戦できる環境が整っている。3Dプリンターは「Creality K1C」をあえて同一モデルで2台導入した。能城先生によれば、自分があまり3Dプリンターに詳しくないからこそ、同じ機種を複数台そろえたという。そうすることで、トラブル時に機器の個体差による不具合なのか、仕様によるものなのかを見極めやすいからだ。
また、3Dプリンターで使用するフィラメントは湿気に弱く、未使用時の保管や乾燥が重要であることも、運用の中でわかったそうだ。インターネット上にはフィラメントの保管について多くの情報が出ているが、乾燥機付きモデルを選んだことで「扱いやすさを実感している」と語ってくれた。
3Dスキャナーについては、SCAN DIMENSION「SOL PRO 3D scanner」を導入した。こちらもプロ仕様の3Dスキャナーでターンテーブルに載せた対象物を高精度にデータ化できる。そのほか、情報II等での活用を想定しているVRゴーグル「Meta Quest 3」や、探究学習などに活用するカラーレーザープリンター、スキャナーなどもそろっている。
三鷹中等では、これらメディアラボやSTEAMラボを生徒がいつでも使えるように鍵をかけずに開放している。能城先生はその理由について、「本物の機器だからこそ、生徒が使いたいときに使えることが重要であり、その自由度をもたせることがDXハイスクールのめざす情報人材の育成につながると考えています」と説明する。機材が壊れるかもといった懸念もあるが、「そこをどう指導するかが教育ではないでしょうか」と能城先生は語っている。
■ 2つのラボを支えるネットワークとサーバー環境
三鷹中等では、超高速ネットワークも実現しており、DXハイスクールの取り組みを支えている。外部回線を10Gbpsクラスの「フレッツ光クロス」へ更新し、ルーターからメディアラボ・STEAMラボまでは光ファイバーで10Gbps接続。校内バックボーンも中高としては異例の完全10Gbps化を行った。ラボ内のPCはすべて有線接続とし、高速かつ安定した通信を確保している。
「時間によって多少は異なりますが、今は下り・上りともに3,000Mbps以上、環境によっては3,500Mbps近く出ています」と能城先生は話す。こうした高速ネットワークは、動画編集や3Dモデリングなど大容量データを扱う作業では、転送速度が作業効率に直結するので、見逃せないポイントだ。
また、DXハイスクールの整備に合わせて、Intel Xeon W-1250を搭載した高性能NAS「QNAP TVS-H1688X」を導入しサーバー環境も強化している。同機を導入することで、既存の学校サーバーに手を加えることなく、生徒用の仮想マシン(VM)を追加運用できる点が大きなメリットだという。
「学校のサーバーはほかの部署やシステムともつながっているため、教育用に環境を追加したいと思っても自由にいじることができません。ところが、QNAPを“学校内用の仮想環境サーバー”として導入することで、既存ネットワークに負荷をかけず、必要なVMを自由に構築できるようになりました。レンタルサーバーを借りて授業で設定する方法もありますが、もしも設定に失敗したり、授業時間内に構築が終わらないと、セキュリティホールがある状態のまま1週間放置することになりかねません。それは避けたいんです」(能城先生)。
■ 自由に使えるデジタル空間で、広がる生徒の活動、深まる探究学習
こうした環境を生かして、三鷹中等では生徒の活動や学びの幅が広がりつつある。情報分野への興味を深めた生徒の中には、全国の高校生を対象としたアプリ開発コンテストやハッカソンに挑戦するケースが出てきた。また、映像制作のスキルを高め、高校生フィルムコンテストに出品したグループや、大学が主催する中高生向けのデータサイエンス講座で受賞した生徒もいる。
また、情報分野に興味を持った生徒個人の挑戦だけでなく、3Dプリンターによる創作は文化祭などの学校行事でも人気だという。来場者に楽しんでもらいたいという想いから、生徒がデジタルものづくりのアイデアを発想できるのは、こうした環境があってこそだといえる。
さらに探究活動では、自らの課題解決につながるケースも見られるようになった。たとえば、「伊豆大島三原山における溶岩流シミュレーション」をテーマに研究を行った生徒は、三原山の地形を立体化したモデルを3Dプリンターで出力し、複数の噴火地点を想定してシミュレーションを行った。3Dプリンターをものづくりだけでなく、学びを深めるためのツールとして生かしている好事例だといえる。
もちろん、こうした学習へと発展させるためには、生徒たちが一定のスキルを持ち、着想できることが重要になる。その土台は、日頃の情報の授業や、学校生活における端末活用を通して培われていることも忘れてはならない。
例えば、高校1年生の「情報Ⅰ」では、「モデル化とシミュレーション」の単元で、Pythonを用いた数式モデルの構築に取り組んでいた。お小遣いや貯金の増減を題材にシミュレーションを行い、後半ではPythonのライブラリの一つである「Matplotlib」をインストールして都市の人口変化をグラフ化する課題にも挑戦していた。
能城先生が授業づくりで重視しているのは、生徒が自分の力で「面白い」「できた」と実感できるよう、課題の負荷を適切に調整することだ。簡単すぎても学びが深まらず、難しすぎても意欲が続かない。だからこそ、一人ひとりが理解度に応じた手応えを得られるよう、細かな工夫を施しているという。
「将来、生徒たちが、学校で使っていた機材は本当に良いものだったと思ってくれることが、良いIT人材を育てる土台になるのではないかと考えています」と話す能城先生。機材の充実そのものを目的とするのではなく、そこで得た経験が生徒の未来を切り開く力につながってほしいという願いが込められている。
【世田谷区】砧中学校 I組技術
【目黒区】緑ヶ丘小学校 のびっこタイム
毎週金曜日の5時間目は、自己選択学習の時間「のびっこタイム」です。書籍やインターネットで調べたことを、ロイロノートにまとめていきます。1年生はソフトキーボードを使って入力したり、知りたい内容を音声で聞いたりして学習を進めています。
【東村山市】野火止小学校 1・2年生 オンライン授業を実施しました!
10月31日(金)、1年生と2年生を対象にオンライン授業を実施しました。
家庭からの参加となりましたが、子供たちは画面越しでもしっかりと先生の話を聞き、意欲的に学習に取り組む姿が見られました。授業の中では、クイズ形式の学習や、みんなで考える活動などもあり、笑顔があふれる時間となりました。
保護者の方々のご協力もあり、スムーズに授業を進めることができました。子供たちからは、「楽しかった!」「またやりたい!」という声も聞かれ、オンラインでもしっかりと学びを深めることができた様子がうかがえました。
今後も、状況に応じて柔軟な学びの形を取り入れながら、子供たちの「学びたい気持ち」を大切にしていきたいと思います。
【板橋区】志村第一小学校 1年生 プログラミングに挑戦!
1年生合同で、「viscuit」アプリを使って、プログラミングに挑戦しました!初めてのプログラミング学習に、目を輝かせて、楽しそうに取り組んでいました。生活科「いきものとなかよくなろう」の学習で、虫のお世話をしました。虫が動く様子を観察し、タブレットを使って動きを表現しました。
【東大和市】第一小学校 2年生 九九練習
2年生の算数はかけ算に入りました。少しずつ九九を身に付ける活動を行っています。
九九カードやタブレットのソフトを使って、自分なりに覚えられるように取り組んでいます。
頑張って学習に取り組む姿が見られています。
【町田市】金井小学校 雨の日の休み時間の様子
今日は雨は降っており、休み時間は教室ですごしました。低学年の児童はタブレットでタイピング練習ゲームや粘土をしています。中学年の児童はタブレットを使って、すごしている子が多くいました。高学年の児童は委員会の活動をしていたり、家庭科室や図工室で作品を作っていたりしました。どの学年の児童も静かにすごしており、落ち着いた休み時間でした。明日は3、4年生の校外学習があります。晴れることを願っています。
【渋谷区】AI型教材「キュビナ」を活用した「未来の学校プロジェクト」成果報告/東京都渋谷区教育委員会
AI型教材「キュビナ」を活用した「未来の学校プロジェクト」成果報告/東京都渋谷区教育委員会
探究「シブヤ未来科」の学びの前提となるのが、各教科における基礎学力、そして「自律した学習者」として主体的に学ぼうとする力だ。また、探究「シブヤ未来科」の時間は、従来の教科の学びの時間を一部短縮することにより創出されているため、各教科における基礎学力を身につけるための学びを、より効率的・効果的に実施することが必要となる。
そこで重要となるのが、“個別最適な学び”のさらなる充実だ。COMPASSではAI型教材「キュビナ」の提供開始以来、キュビナのAIによる“個別最適な学び”を通じた、子どもたちの自律的な学びの促進と、教科学習の効率化による未来を創る力のための時間の創出に取り組んでいる。
連携協定に基づき、現在渋谷区では全区立中学校にキュビナが導入されており、 教科学習における“個別最適な学び”の促進を通じた「未来の学校」づくりへの取り組みが進められている。その一つが、今回紹介する「未来の学校プロジェクト」だ。
キュビナの個別最適な学び&時間創出で「自律した学習者を育む環境」の授業モデルを構築
渋谷区とCOMPASSが共同で進める「未来の学校プロジェクト」は、渋谷区が目指す未来の学校における「自律した学習者を育む環境」としての授業モデル構築の取り組みだ。昨年度はモデル実証校における検証が行われた。
本プロジェクトでは「自律的な学習」を、「生徒一人ひとりが、ワクワクを起点に、自ら目標を立て、考え、行動し、時に他者と協働しながら、歩みを進めていく学習サイクル」と定義する。
キュビナの特長である<高精度AIが子どもたち一人ひとりに個別最適な学習を提供することで自律的な学びを促進する点><教科学習の効率化により、「シブヤ未来科」の取り組みをはじめとする探究活動のための時間を創出できる点>を活かし、キュビナの活用を授業内で効果的に組み込むこととした。
【実証の枠組み】①生徒自ら学びをデザイン ②学力保証の2本柱で授業モデルを構築・実践
実証は渋谷区立の3つの中学校(中学校A・B・Cとする)の教員4名、生徒約300名(中学1~3年)を対象に、2024年6月~2025年3月の期間、理科と数学の授業で実施された。
プロジェクトを円滑に進めるために、教育委員会・学校長・各学校の教員・COMPASSの担当者など各関係者が明確な役割を担い、協力しながら推進した。
「自律的な学習」には、自己決定の機会が不可欠であると考え、構築する授業モデルでは、①授業の中で生徒の選択肢を増やすことで、生徒が自ら学びをデザインできる環境を整える。また、自己決定の機会を重視する一方で、基盤となる学力を確実に保証することも教科の学びにおいては必要となるため、②最低限の学力保証の仕組みをセーフティネットとして用意することも、授業モデル構築のもう一つの要件とした。
①については、以下の5つの要素において授業内の生徒自身による自己決定の機会を創出する。
《自己決定の5つの要素》
・Who:誰と一緒に勉強するのか?(個人か、ペアか、グループか)
・Where:どこで勉強するのか?(教室内外のどこで勉強するか)
・How:どのように勉強するのか?(教科書、キュビナ、問題集、実験など)
・What:何を勉強するのか?(テストに向けた復習、未修範囲を先取りで予習など)
・When:勉強のタイミングは?(定められた単元範囲をいつ勉強するのか)
②については、①による従来の学びの形からの転換を図りながらも、キュビナの活用により基礎的な学力を確実に身につけるための仕組みを授業内に組み込む。
この2つをともに実現する授業モデルの構築に取り組んだ。
プロジェクトの成果とその振り返りとして、構築した授業モデルを各対象校で実践することに加え、①については、事前・事後のアンケート(生徒・教員)結果の比較、②については、事前・事後のテスト(キュビナのワークブック機能を使用)結果の比較を行いその効果を検証した。
【授業モデル概要】2段階の自己決定の度合いの授業モデルを実証
今回の実証では、生徒の自己決定の要素を授業の一部に盛り込む部分導入と、授業全体を自己決定で構成する全体導入の2段階に設定し、それぞれの度合いに応じた2つの授業モデルを構築・実践した。
部分導入はまだ自律的な学習に慣れていない生徒、全体導入は既に自律的な学習の習慣がある生徒を対象に想定し、今回の実証校における過去の授業実践の状況などを鑑み、部分導入の授業モデルを理科、全体導入の授業モデルを数学で実践することとした。
部分導入の授業モデル(理科)では知識の獲得を全員共通で行う前半の講義パートと一人ひとりが自己決定学習を行う後半の個別選択パートの2部構成で、全体導入の授業モデル(数学)では、指定の単元について教材や学習のペースなどの学び方を生徒自身が決める単元内自由進度学習で授業を構成した。
それぞれ生徒自身が学び方を自己決定する機会を設けるとともに、各自が「目標設定~学習~振り返り~次の目標設定」の主体的な学習サイクルを回すことができるよう、振り返りシートなどのツールを使用した。
教員は、必要に応じて自己決定のサポートや生徒の学習の様子に応じた声かけを行うほか、振り返りに対するフィードバックを行うことで生徒の学習の質の向上を支援した。
また、いずれの授業モデルにおいてもキュビナによる確認テストを授業内に組み込むことで、知識の理解・定着状況を確認し、振り返り・次の学びにつなげることができるようにした。
確認テストにはキュビナのワークブック機能を使用し、教員は管理画面からリアルタイムで生徒たちの学習データを確認することで、クラス全体の進捗状況の把握やつまずきのある生徒のサポートにつなげることができるようにした。
実証の効果検証1】生徒が自ら学びをデザインできる環境の実践+生徒・教員の意識のポジティブな変化
各実証校で2つの授業モデルに実際に取り組み、大方針の1点目として据えた「生徒が自ら学びをデザインできる環境」としての新しい授業の形を実践することができた。また、実践を経た生徒と教員の双方におけるポジティブな意識の変化をアンケート調査で確認することができた。
・特に生徒では「自らの学習の進め方を振り返っている(2.85→3.10)」
・「授業や単元で出される課題の難易度は、自分に合っていると思う(2.94→3.11)」
・「数学/理科の授業の内容はよく分かる(2.87→3.03)」
などの項目で統計的に優位な向上を確認することができた。
教員向けのアンケートでは、
・「生徒が主導して内容や進め方を決める授業が多い(2.5→3.0)」
・「生徒が自ら学ぶ方向づけをする探究的な学びは、各教育段階で効果的である(2.8→3.3)」
・「生徒が試行錯誤して考えられる場や課題を設定する(3.8→4.3)」
などの項目で統計的に優位な向上が見られ、生徒主体の授業への移行に関するポジティブな意識の変化を確認することができた。
【実証の効果検証2】 学力向上の効果を実証+知識技能の習得効率化による時間の創出
もう一つの方針である学力の保証の観点では、事前・事後テストにおける学力の向上を確認することができた。中学校Bの1年生の数学では事前テストの平均点が31.3点だったところ、事後テストでは44.3点に向上したほか、多くの学年・教科で+5〜13pt程度のスコアが変化し、統計的にも有意な向上が確認できた。
さらに、キュビナを活用した個別最適な学びによる、知識技能習得の効率化~時間の創出についても以下を実現することができた。
■「シブヤ未来科」の実施により、従来より1割減(年間の標準時数から1割減)で策定されている教科の授業時数の中で、学力を保証しながら今回の授業モデルを実践することができた。
■理科の授業では、全員共通の前半の講義パートの最後にキュビナによる確認テストを組み込むことで、知識・技能の習得を効率的に行うことができた。その結果、授業後半の時間を、一人ひとりの理解や興味に応じた自己決定に基づく探究的な学び等の時間に充てることができた。
また、プロジェクトに参加した教員からは、今後の授業改善につながる以下の意見を得た。
■「自己決定の機会の提供が、学習への興味や主体性につながることを実感し、生徒の学び方への理解が深まった」
■「キュビナの即時フィードバックをチェックテストに活用することで、生徒が主体的に学習の確認をする習慣につながった」
【まとめ】プロジェクトの成果と今後の課題
成果:プロジェクトを通じて下記の成果と学びを得た。
■授業モデル構築: 自律学習を促進する授業のモデルを構築することができた。
■学力の向上: 多くの学年・教科でテストスコアの向上が確認された。
■学習行動の変化: 自律的な学習行動(学習の計画や振り返りなどの行動)や主体的に学習に取り組む態度が強化された。
■授業スタイルの変化: 先生の指導観において、生徒主体の授業への移行に対するポジティブな変化が見られた。
課題:プロジェクトのさらなる発展に向けた課題として下記が提示された。
■ 学びの定着や深化: 学びの質を高めるための工夫や改善を継続的に行っていくこと。
■ 個々の学習状況の把握: 各生徒が異なる内容を扱っていても、適切に状況把握ができるような仕組みを整えること。
■ グランドルールの整備:生徒が安全安心に学べるような環境整備の必要性。
■ 評価方法の見直し: 従来の評価軸と自己決定型学習の成果をどう結びつけるかが課題。
COMPASSと渋谷区では、今回構築した授業モデルを区内の他の中学校にも展開、また今回実践した理科・数学以外の教科での実証にも取り組む予定だ。
また、今後は探究学習領域における共同の取り組みについても検討していくとしている。
東京都、デジタルの力で教員の働き方改革を加速「次世代校務DXプロジェクト」が始動
東京都教育委員会の「次世代校務DXプロジェクト」が10月1日より始動した。公立小中学校等の情報を管理する統合型校務支援システムを都内全区市町村で共通化する取り組み。システムの共通化等により、教員の業務が効率化し、教員が子供と向き合う時間を確保し、学習の成果などのデータを活用したきめ細かな指導・支援を可能にする。
■デジタルの力で教員の働き方改革を加速
都教委は、都内公立小中学校等の統合型校務支援システムの共通化について、全区市町村と協議を重ね、「次世代校務DX環境の共通化方針」を策定済み。今後、システムの仕様検討・構築を行い、2028年度以降順次、都内で共通化された統合型校務支援システムを導入する予定だ。
また、統合型校務支援システム以外に、ダッシュボードや出退勤管理システムの整備にも取り組む。加えて、システム導入が開始となる2028年度までの間においても、「保護者連絡ツール」や「デジタル採点ツール」などを区市町村に導入を推進することで、教員の業務効率化等を実現する取組を進める。
東京都の全都立学校で生成AIを本格導入。学校教育における生成AIの活用方法とは
生成AIの利用率は、シニア層になるほど低く、逆に若年層ほど高い傾向があります。10代や20代では日常的に使われ始めており、特に10代は勉強や学習サポートに活用しているケースが多いようです。こうした背景のもと、東京都は2025年5月から全都立学校に生成AI「都立AI」を導入することを発表しました。同AIは生徒や教師が安心して使える環境が整えられており、効果的な使い方や避けるべき利用法を示すガイドラインなど教材も公開されています。なぜ東京都は都立学校に生成AIを導入したのでしょうか?そして、どのような活用方法があるのでしょうか?解説します。
市町村ごとの学校における教育の情報化の実態等調査結果 主要項目についての経年変化