【高知市】浦戸小学校 学ぶ・つながる・伝える力を育む ~「うらどベーシック」の更なる進化~
学びのスタンダード「うらどベーシック」の更なる進化として
本校は、平成30年より「高知県授業づくりBasicガイドブック」に基づいた「うらどベーシック」という授業づくりガイドを作成し、子供一人一人が学び方を身に付け、学ぶ意欲と学力の向上を目指した子供を主体とする授業づくりに取り組んでいる。「うらどベーシック」では、1~3年生は学び方の基本を身に付ける。4~6年生は身に付けた学び方を更に進化させていく。教師は子供一人一人の学びを最大限に引き出す伴走者として子供に向き合っている。この学び方は、子供が自由に友達と相談し合ったり、みんなで一緒に解決の道筋をたどったりすることができる。「うらどベーシック」において、取り組む柱は、
① 教材研究を深め、子供が自らの力でゴール「まとめ」に到達できる「問題」「課題」の設定、思考を深める手立ての準備、
② 子供の語彙力を鍛え、考察力の育成、複数の結果や意見を比較分類・精査する力の向上、
③ ユニバーサルデザインの視点に基づく、全ての子供が「分かる」「できる」授業づくりの継続及び更新
の3点である。これらにデジタル学習基盤を加え、授業づくりを更に進めることにした。
頭を寄せ合って友達と一緒に考える
汎用的なソフトウェアの活用に向けて
本校は、これまで学習支援ソフトを中心に、子供・教師共に日常的に端末を活用していた。そして、汎用的なソフトウェアの活用に向けて、高知市教育委員会GIGA担当指導主事を招いて、基本的な操作や活用方法について講義・演習を受講する機会を設けた。また、月2回程度、職員会議後の30分程度の時間を使って、各学級での活用についての情報交換をしたり、操作について学んだりする場を設定した。汎用的なソフトウェアのよさを実感するまでには試行錯誤の連続であったが、次第に操作にも慣れてくると、使うことへの抵抗は少なくなり、どの場面で活用すると効果的かという視点に意識が向くようになってきた。
授業の具体
(1)「課題型持ち帰り」で学びを深める端末活用
2学期以降、国語科・社会科・特別の教科 道徳・図画工作科等の各教科等で、プレゼンテーションソフトやホワイトボードソフト等を活用し、他者参照しながら、自分の考えをもったり、深めたりすることができるようになってきた。
高知市教育委員会では、学校と家庭の学びを往還させる「課題型持ち帰り」学習を推進している。本校では、第3学年社会科「火事からくらしを守る」の学習において「課題型持ち帰り」を実施し、「家庭で行っている『火事から身を守る取組』を調べる→授業では、各自が調べてきたことを見合い、そこから分かることを考察する→課題解決・新たな課題へ」といった学習過程をつくることで、学びを深める時間を十分確保することができるようになった。
調べてきたことを共有する画面キャプチャ
「課題型持ち帰り」で調べたことを授業の導入で活用
(2)「学びの足あとシート」による子供の学び方の進化
「学びの足あとシート」を作成し、めあてやルーブリック、振り返りを記録するようにした。これは子供自身が授業前と授業後の学習に対する思考の変化を見ることが目的であり、「本時の学び方は適切であったか」「もっと自分の力を高めるために別の方法はないだろうか」といった個別最適な学びを探すための手段でもある。子供は、学習前に立てためあてに向けて見通しをもつことができる。さらに、子供は常にめあてを意識しながら学びを深め、めあての達成に向けて足りない部分を補おうと他者と協力する姿が見られるようになってきた。他者との協働の中に必要性や達成感を感じるようになってきている。教師は子供一人一人の記述をリアルタイムで把握できるため、個別の支援やフィードバックをすることができるよさがある。
学びの足あとシートのキャプチャ
学びの足あとシート
教師も子供も常に挑戦を
全ての子供が動き、考え、コミュニケーションをとり、答えを見付け出していく授業が本校の授業である。したがって、授業の主役は子供であり、教師は学びのコーディネーターである。学びのコーディネーターとしての力を身に付けるには、毎日毎時間の授業で子供たちの資質・能力を着実に育成することである。私たち教師が「主体的・対話的で深い学び」の視点から授業改善を日々実践し続けていくことが肝要である。「新しい時代における『求められる人材像』」(経済産業省「未来人材ビジョン」)では、次の社会を形づくる若い世代には、「常識や前提にとらわれず、ゼロからイチを生み出す能力」が求められるとある。私たち教師も同様である。過去のよい例は参考にしながらも、常に新しいものを求めていきたい。子供もよりよい学び方を身に付けていっている。私たちも「他者参照」しながら共に学びを深め、これからの時代を生き抜いていく学習者を育てていく教師集団でありたい。
【高知市】城東中学校 公開授業
2年生の理科の公開授業がありました。動物のからだのつくりとはたらきを学習したことをもとにして、ツナマヨおにぎりを食べてから排出されるまでのながれを説明することが課題でした。途中AIも活用しながら自分の説明文の修正を行っていました。
【高知市】城東中学校 参観日
タブレット参観日の様子です。授業の中でどのようにタブレットを活用していくか、個々で考えて使っています。どのようなまとめや発表原稿ができたでしょうか。できたものを全体の場で発表していました。保護者の皆様、参観をどうも有難うございました。また、その後の愛校作業もご協力有難うございました。
異なる小学校の複式学級同士によるICTを用いた遠隔合同授業が児童の気分に与える影響の検証
技術教育コース・科学技術教育コースの福谷遼太講師,保健体育教育コースの矢野宏光教授,幼児教育コースの玉瀬友美教授らの研究グループ
【概要】
本研究では,本学部・附属小学校・高知県教育センターの3者による共同研究として,複式学級同士によるICTを活用した遠隔合同授業が児童の気分に与える影響を検証しました。
高知県は,県土面積において過疎地域を含む中山間地域の割合が約93%であることから,複式学級が多く設置されています。複式学級は,構成人数が少ない上に,異なる学年の学習者が同じ環境で学ぶ構造上,授業で児童生徒が多様な考えを出し合って練り上げていくことや,学習者の学習意欲を維持させることに課題があるとされています。このような課題に対し,遠隔会議システムを用いて他校と繋ぐ「遠隔合同授業」は,複式学級の構成人数の少なさを補える点で効果的であると考えられます。しかしながら,その研究事例は十分に蓄積されていないことに加え,遠隔合同授業が児童の気分にどのような影響をもたらすかについては明らかにされていませんでした。
そこで本研究では,附属小学校が高知県内の2校(A校・B校)とそれぞれ2回ずつ,計4回の国語科の合同授業を行い,そのうち3回は遠隔会議システムを用いた遠隔授業,1回は対面授業として実施した上で,それぞれの授業前後における児童の気分の変容を調査しました。合同授業では,児童が有するタブレットPCや大型ディスプレイ(電子黒板)を使用して接続した上で,ロイロノート(Loilo社)を用いた資料共有や,Zoom(Zoom Communications Inc.)のブレイクアウトルームを用いたグループ活動等を実施しました。
児童の気分の変容を調べるために,小学生以下の子供でも回答しやすい検査「こころのダイアグラム(DMS)-二次元気分尺度(TDMS)子ども用-」を使用して分析した結果,遠隔授業でも児童の気分が有意に向上し,多くの児童が授業を肯定的に捉え,自分の考えを普段より積極的に表現できたと感じていることが示されました。質問紙調査における自由記述でも,「また交流したいと思った」「自身にはない考えが勉強になった」といった趣旨の意見が複数見られ,児童たちが遠隔合同授業という授業形態であっても建設的に学ぶことができていたことが分かりました。一方,音声トラブルなど通信環境が気分に影響することも示唆されました。
【今後の波及効果】
前述の通り,児童数の少ない複式学級では,多様な意見の交流や学習意欲の維持に課題があるとされています。複式学級が多い高知県において,他校との遠隔合同授業がその課題解決の一助となる可能性を示した点は意義深い成果といえます。
【高知市】義務教育学校土佐山学舎 児童生徒総会(5~9年生)
本校では5年生以上が児童生徒総会に参加しています。
市町村ごとの学校における教育の情報化の実態等調査結果 主要項目についての経年変化