【交流会レポート】学習者起点の学びの促進に向けて 第5回「学習者起点の学びを支えるNextGIGA!!その姿を具現化させよう ~飲食アルコール自由~」(2023年3月27日開催)

3月27日(月)に第5回「学習者起点の学びを支えるNextGIGA!!その姿を具現化させよう ~飲食アルコール自由~」というテーマで交流会セミナーを開催しました。

交流サブ部会では、「学習者起点の学びの促進」というテーマで議論を重ねています。今回は、全5回中の最終回でした。参加者同士で、GIGAスクールの現状を洗い出し、あるべき姿に向かう施策について議論をしました。それぞれの立場で、来年度に向けたGIGAスクールの推進の取り組みについて考えました。 当日は、学校教育関係者はもちろん民間事業者など多彩な方々に多くご参加いただけました。

(参照) https://giga.ictconnect21.jp/202303164296/ 外部サイトにジャンプします


ファシリテーター

南房総市立富山中学校      野口 雄毅
松戸市立和名ケ谷中学校      高瀬 浩之
コスモピア株式会社       佐野 悠介
交流会サブ部会長 富士通Japan  應田 博司

目次

(1)趣旨説明
(2)参加者によるNextGIGAに向けた施策について討議
(3)まとめ
(4)参加者様より
(5)最後に


(1)趣旨説明

 令和の日本型学校教育の姿のひとつとして、個別最適な学びの実現があります。これは、「学習者起点の学び」の姿です。また、新学習指導要領の主体的な学びは、「学習者起点の学び」の一側面を持っています。この主体的な学びは、多くの学校で課題発見・解決学習やアクティブ・ラーニングとして事例を聞くようになりました。
 これまでのセミナーを通して、学習者起点の学びは学習者にとって効果があることがわかってきました。最終会は、学習者起点の学びを支えるNextGIGAについて、参加者の立場で現状とあるべき姿に向かう施策について考えましょう。

(2)参加者によるNextGIGAに向けた施策について討議

 参加者の皆さんと、GIGAスクールの現状とあるべき姿を話し合い、NextGIGAの施策を議論した。

【現状】

ネットワーク環境が不安定(1つのトラブルが全体に影響する)/データ共有による安全性が不透明/セキュリティ対策/MEXCBTの先行きが不透明/学習eポータルの在り方をめぐる議論/教師の運用ルール作成/使用アプリ・ ソフトの選定/一部の教師だけが活用/学校評価のために使わされている先生/GIGA端末を利用する必要感に迫られていなく、紙でできることは紙でする/教師主体で教師の意図だけで利用している/使う気がないと全く使わない/

【あるべき姿】

柔軟なIT運用/アカウント管理を日本全体でおこなう(児童生徒主体の設計)/ 教具ではなく、文具としてつかう/デジタル・シティズンシップの文脈・育成/先生も楽ができるように/児童生徒の「情報活用能力」をボトムアップで明確にしていく/ICTの活用場面を判断できる教師/ICTをつかって何をするのかという目的をはっきりさせる/子どもたちが端末を使う・使わない場面を選択できる基礎指導/端末の使用の判断を子どもたちに任せられる教師

【施策】

ガラパゴス化するサービスやアプリの対応/多様なニーズへの対応/ユーザインターフェイスの洗練/共通の仕様/設計指導の第三者レビュー/個別アプリではなく、より広いプラットフォームでの運用/意識改革/教務フローのDⅩ/教師の発信/活用事例の蓄積/ポイントを絞った指導内容案や計画の作成/子どもがルールをつくる環境/教師よりも先に子どもが使えばヒントがでてくる/端末を持ち帰るのが当たり前の世の中/教科書は学校に置きっぱなし/主体性を生み出す発問「どうする?」など/学級活動から端末取り入れ、自由に触らせ失敗と成功を経験させることで主体性を育む/校内研修で授業デザイン研修をする/GIGA端末が得意な人が、たくさんの取り組みを率先して頂き、学校内に広める

(3)まとめ NextGIGAに向けた施策とは

参加者の皆さんの議論をもとに、NextGIGAの施策を、3つの視点でまとめさせていただきます。

●システム設計・運用
 アプリやサービスのガラパゴス化が進んでいる現状から、児童生徒教師主体のUI設計やより広いプラットフォームでのサービスを運用する。

●自治体・学校
 集団に焦点をあてた教育の脱却、 教師の定型業務の効率化と削減などの教育DXを推進し、取り組み事例を発信する。

●教師・児童生徒
児童生徒は、端末の善き利用者になる主体的な力を育む。 教師は、その力を身につける授業デザイン、ポイントを絞った指導を実践し発信する。

(4)参加者様より

●ご質問

 『中学校やその先で子どもたちを待っている立場の方々から見て、小学校時代にどんなスキルやマインドを身に付けていたらいいと思いますか?』

(以下、公立中学校教諭の一個人の見解・回答です。)

 小学校時代には、学習や運動などを通して多くの成功体験を生み、自己肯定感を高めることが大切です。児童の成功体験を生み出す教師の支援が必要です。児童が「自分にはできない」と劣等感を植え付けると集団との関わりが薄くなってしまうのではないかと思います。

 学習者起点の授業は、対話を通して学び合い、学習課題への解決に向かう授業です。社会人となる生徒が自己実現に向かう力を育み、そして、日本社会が抱える課題の解決に道筋をつくる集団の力を育てるものだと思います。

 中学生以降の発達段階は、「自分は自分であること」というアイデンティティの確立です。集団の中で多くのことに挑戦しつつ、自信過剰になったり、落ち込んだりしながら「自分」を見つけていきます。個人差はもちろんありますが、小学校での培われる自己肯定感を土台とし、中学校以降の「自分」探しにつながるものだと考えています。

 はじめから、学習者起点の授業を全授業で実施するのは難しいと思います。1授業10分から始めてみるのはいかがでしょうか。共に考えていきましょう。

●感想

・現場の生の声をいろいろ聞けてよかったです。

・思っていたよりも人数が少なかったのでビックリしました。が、すごく実践されている先生方のお話を聞けたので、子供主体の授業を進めていくことに間違いはなさそうだと確認することができたので満足です。うまく行かないところもあるのですが、そうそう簡単には進まないだろうと思うので、地道に続けていきたいと思いました。

・本日はNEXTGIGAあるべき姿の達成に必要な施策を多数洗い出せたことが大きな成果だと感じました。施策内容は先生の視点や環境面など広範囲にわたっておりましたが、それぞれを今後の活動で議論しておくことで、明るい道筋が見えてくのではないかと、期待も持ちました。次年度も引き続きのご指導をよろしくお願いいたします。

・こんなふうにワイワイした話し合いになるとは思いませんでした。

・初めてお世話になりました。「ただ聞くだけ」で勉強できる時間になると思っていたため、想像と違って驚きました。自分も参加するという形が新鮮で、授業中の子どもたちの立場も体験できた気がします。(タイピングが遅いとつらいな・・・とか、考えがまとまらなくて焦る体験とか)また、自分の物の見方の狭さを痛感しました。たくさんの気づきがいただけました。ありがとうございました。

・「学習者起点の学び」の実現に向けての課題ややるべきことについて、さまざまな立場からの意見があって、認識が深まりました。

(5)最後に

 ご参加いただいた皆様のおかげで素晴らしい交流会セミナーとなりました。あらためまして感謝申し上げます。今回の議論で、それぞれの立場でNextGIGAを推進するヒントが得られていれば幸いです。  また、来年度も引き続き交流会セミナーを実施します。本年度よりも、さらに参加者間のコミュニティづくりを充実させることにより、皆様にとって有意義なセミナーとなるようにしていきたいと思います。今後とも宜しくお願い致します。