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EDIX出展レポート:地方が抱える教育課題の解消に向けたデジタル田園都市交付金事業の活用~北海道奥尻町が進める
「奥尻町教育DX・Step-Up事業」の動き
日本最大の教育総合展EDIX東京ブースにて、佐賀未来塾ICT活用教育研究所代表、福田孝義先生がご登壇されました。以下の福田先生のお話は非常に興味深いものでした。下記より是非お楽しみください。
佐賀未来塾ICT活用教育研究所代表 福田孝義先生
本日は、北海道の方で取り組んでおります地方からの教育改革についてお話をさせていただきたいと思います。「佐賀の人間がなぜ奥尻島なのか?」ですが、平成28年当時、私が文部科学省のICTアドバイザーをしておりました折に、奥尻町から、「子供たちが島にいるからという理由で、思うような教育サービスが受けられないのでなんとかなりませんか?」というご相談がありました。そして、それ以来、ずっと継続して相談対応を行ってるんですが、今回やっと国の方から予算をつけていただきまして、奥尻の子供たちに、今風の教育環境を提供することができました。これは全国色々な子供たちに使えるのではないかと思い、特に不登校とか、または、最近注目されている夜間中学など、学び直しをしようという子供たちに高いアドバンテージがある事業(取組)ではないかと思っております。
佐賀県でやっている時には、小学校、中学校、高校またぎの学力向上対策で入試改革や新しい学校づくり、最後は副教育長として、県立の中学校、高校、特別支援学校、全ての子供たち、1人1台のタブレットを用意した次第ですが、今回の取組は、教育DX時代の今風のチャレンジと考えています。
奥尻の先生方がいつも言われるんですが、奥尻は自然が豊かだし、歴史もある。平成の初めには、大災害があり、島の半分が被害にあわれたという厳しい思いもされたようですが、子供たちは奥尻に住んでいるがために、いわゆる教育サービスの面で、若干ものたりないものがある、ということで、今回、それを埋めるために、教育委員会と、首長部局、さらには、国とか、北海道庁、檜山教育局など、その地区でスクラムを組みまして、最後、これが肝だと思っているのですが、やはり行政だけではできないものが多いものですから、企業の皆様にもお声がけをして、お手伝いをしていただこうということです。
内閣府では、全国の自治体に対して、こういう地方活性化の事業をやることに応援をしてくれています。私は行政は長かったんですけど、自治体の多くは、自前の予算だけではなかなか厳しいものがありますが、この事業では、半額を国が面倒を見てくれるんです。地方としては、かなりありがたいです。さらに今回の奥尻の件は、国へ出す提案書作成の段階から私も入りましたし、内閣府から指名を受けた業者さんも入っていただいて、3者で作りあげました。一緒にやることにより、提案書も出せ、採択いただくまでにいたりました。
今回、やろうとしていることはとにかく地域間格差をなくしたいこと。地方であるが故になど、または不登校であるが故にとか、何々があるが故にというのを今回解消したいと思いました。国としては、あくまでも色々と文科省はやってくれてはいますが、どうしても都市部が中心にならざるを得ない。全国に目を向けた場合、地方発の1つのモデルとして、奥尻が使えるんじゃないかと思っております。
これは、奥尻町でお聞きしたお言葉ですが、フィンランドの横にエストニアという国があります。小さな国ですけど、ICTでは世界一です。エストニアの国で育った子供たちが全世界で活躍しています。ということは、北海道の奥尻町についても、ここで頑張った子供たちが、全国で活躍してもおかしくないんじゃないかという思いを持たれています。1つは、負けない学力をつけたい、2つ目は、STEAMのような近未来型の教育です。これから先の教育についても目くばせをしたい。そして、それをやろうとすると、2つのことが必要です。 1つは、支援体制、もう1つは、キャリアにつながることです。どんなに学力をつけても、学生時代が終わったら、しっかりその学力を維持し、将来のキャリアにつなげていきたい、それが大切です。
そのための対策として、今回、4つの事業を用意しました。 1つ目は、「Web AI塾」。いわゆる、奥尻町には私塾がないんです。ですから子供たちが勉強をしようとすると、自分で本など買ってやるか、先生に質問する以外ないんです。そういうところで、塾をつくろうとしても厳しいものがありますよね。それで今回、フルクラウドでやり始めました。
そして今回、初年度(1年目)の事業報告書を提示したところ、いろいろな方々から、とても喜んでいただきました。この報告書には、奥尻の子供たちが、学校の授業が始まるまでに何問問題を解いたか、授業中いくつ問題を解いたか、放課後、何問解いたか、家に帰って解いたか、全部データがあるんですよ。これをみると奥尻の子供たちが学校外でも、AIドリルを一生懸命勉強している姿が見えます。奥尻町の成績は北海道でも、かなり上位です。
2つ目は、「Web STEAM教育」。実は奥尻町からすると一番遠い存在でした。これから先の未来を予測した学問ですから、中心としては、科学、工業、リベラルアート、数学、とか言いますけど、目指す方向性が21世紀型スキルということですので、もっと先に行けます。
3つ目、キャリアについてはTOPPANさんが中心にやってくれてますけれど、他にも色々な企業様にご協力をいただいており、子供たちも喜んでくれています。 最後4つ目は支援センターです。平成22年のフューチャースクール当時、ICT支援員の存在が大きく注目されました。しかし、あれの欠点は、それができる人がなかなかみつからないのです。それを、今回、奥尻町では、WEBでできないだろうか、将来的にはアバターでできないだろうか、とやり始めましたけれど、とにかくICT支援をやるのは厳しいものがあるので、それをWEBの中で、バーチャルな世界でできないか、なのです。成果指標ももうけておりますので、これも今年の分を報告書につけております。
次に、今回の報告書の中でも各方面からの反響が特に大きいデータですが、子供たちが1時間勉強したとか2時間勉強したとか、いいますよね。でも、どれぐらい問題を解いたかとか、どれぐらいわかったか、とかはないのですよ。なので、ここまで踏み込んで、何問解いたかまで示してあげると、いわゆる予算をつけるか否かを判断する人間としては、非常に分かりやすいのです。奥尻町には、現在、小学校が2つ、中学校が1つ、高校が1つあるんですけれど、この高等学校が道立の高校としては存続できないということになり、それを奥尻町がひきうけられて、新しい高校になり、そこに全国から子供たちが来ています。日本全国から北海道奥尻町にこられる子供たちに対して、例えば、中学校時代、少しなまけたとか、勉強の好き嫌いが激しかったというような理由で、凸凹があるんですが、その子供たちに、やりなおしの教材として使うようにしています。 結局、高校の勉強でつまづいたときに、あえて中学校、小学校まで戻ることによって、学びが補完できます。子供たちもプライドがあるんで、全てAIでやっています。
グラフは、Web STEAM教育です。円グラフは、満足度を表しています。子供たちに対して、役立つと思うかとか、感想をきいてみたりなどしています。 子供たちって正直なもので、ロボットを使った授業には結構反応しています。難しいものについては、もう少し工夫をしないとうまくなっていかないかなと思うのです。
今の子供たちは普通にパソコンを使っていますが、それをもう少しリッチな授業ができるようにということで新しい部屋を作ったところ、子供たちが色んなチャレンジをしてくれています。この先動き始めると思うんですけど、これまであったパソコン教室のリニューアル版、新しい形での提案なんです。
あとはキャリア教育です。キャリア教育については、これから出てくるであろう職業を中心に取り扱い、色々な職業を体験してもらおうと思ってやっておりますので、子供たちにとっては、近未来な職業体験ができていると思いますし、現に評価も非常に高いです。
色んなことをやるために、下支えするための組織、それが、Web教育DX支援センターです。子供たちはいろいろ工夫しながら学べばいいんですけれども、先生方にはフォローが必要です。先生方のフォローをするシステムがどうしても必要、それを今回作ったということです。Webを使った現場の支援体制など一緒に考えていただくと良いです。私は教育委員会に長く籍を置きましたが、今回、新しい仕組みを一緒に考えてみよう、というわけです。
最後に、先生方にこの事業をやるにあたって、教育委員会と私たち、外部の人間、国の人間、それぞれの役割や何が目標かなど、一生懸命話をしました。その上で、あえて先生方に「こんなことをすることによってどう思われますか?」と尋ねたところ、よくなると回答した人が16%、ある程度よくなるが45%。約6割はいいかな、と回答していて、あと4割はそうじゃない。先生方は、新しいことに対しては、どうしても躊躇する傾向にあります。これを先生方が「よかったね!」と言ってくれるようにやること、これが2年目、3年目の仕事だと思っています。 そういったことで、北海道奥尻町のなかで、新しい教育改革の動きが始まっておりますけど、ぜひこれを北海道発の1つのステップとしてもらって、全国の子供たちに広げていってもらいたいと思いますし、できればそれを、離島とか山間部の学校とかだけではなく、都市部でも、不登校の子供とか、学校から足が遠のいている子供たち、また過去に学校から足が遠のいた子供たちもいますので、そういった子供たちにまず使っていただければ、勉強っておもしろいよね、ってなると思います。
参考:奥尻PTの連携校(特に、AIドリルのモデル校)としてご協力いただいている
九州文化学園小中学校の動き
青苗小学校 2月3日(金)
今日は、中学年と高学年のプログラミング学習がありました。みんな、講師の先生の話を聞いて真剣に取り組んでいました。
奥尻中学校 「Zoom」をやってみました
今後に備え,各学年でZoomを試してみました。卒業式以来のZoomで,上手く接続できなかったりしましたが,多くの生徒の元気な顔,寝ぼけ眼,恥ずかしそうな顔・・・が見られました。
(PDF)和歌の調べ―万葉集・古今和歌集・新古今和歌集―和歌を読み味わう
タブレットを用いて,和歌の現代語訳や歴史的背景,作者について調べました。インターネット上のサイトを閲覧し,情報をまとめますが,1つに限らず,複数の情報を参考にしながら,取捨選択する「情報リテラシー力」も授業内で養うことができます。
学校における教育の情報化の実態等調査結果 主要項目についての経年変化
【奥尻町】の詳細な情報は基礎自治体教育ICT指数サーチ(岐阜聖徳学園大学 芳賀研究室提供)へ