「骨太の方針(原案)」が公開されました(令和2年第10回経済財政諮問会議)

令和2年第10回経済財政諮問会議が7月8日、官邸にて開催されました。
注目の「骨太の方針」(経済財政運営と改革の基本方針 2020(仮称))原案が示され、内閣府ホームページで公開されましたので、お知らせします。

▼経済財政運営と改革の基本方針 2020(仮称) (原案)(PDF)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2020/0708/shiryo_02.pdf

教育とICTの領域(主に初中等教育段階)への言及について、下記でご紹介します。

“教育の質の向上に向けて、予測不可能な未来を主体的に切り拓くことができるよう、アクティブ・ラーニングや学びのデジタル化、外部人材の活用等を通じ、個別最適化された深い学びを実現し、課題設定・解決力や創造力のある人材を育成する。このため、教育研究の定量的成果等に応じた財政支援のメリハリ付けの強化を進める。また、科学技術・イノベーション政策では、創薬研究、デジタル化・リモート化やAI・ロボットなどの社会課題解決に資する分野を中核に据えて取り組む。その際、予算の質の向上を図りながら、官民連携による戦略的な研究開発投資を促進し、「世界で最もイノベーションに適した国」の実現につなげる。”

“高校・大学の遠隔教育について、単位上限ルール等の見直しを検討する。また、義務教育段階の遠隔教育・デジタル教材活用を促進するとともに、デジタル教科書が使用できる授業時数の基準の緩和を検討する。”

中でも、最も注目すべき記述は下記になります。

3.「人」への投資の強化 ― 「新たな日常」を支える生産性向上
感染症による学校の臨時休業により、公教育のオンライン対応の遅れが顕著になり、学びを止めないことが課題となった。学びにおけるデジタル化・リモート化を推進し、優れた取組の横展開とPDCAの実行により、教育の質の向上と学習環境の格差防止に取り組み、子供たちの学びを保障する。ICT化は子供たちに世界の扉を開き、可能性を広げ、教師が教え子に向き合いやすくする。経済社会の変化とその形成に積極的に対応できる資質・能力を育成する観点から、一つの正解を導き出す画一的・横並び的な教育を脱し、その自由度を高め、学習者第一の視点に立って、課題設定・解決力や創造力のある人材育成を強化する。 デジタル化等の課題への対応により社会変革を牽引けんいんし、Society 5.0 を世界に先駆けて実現するため、リーマンショック後の投資停滞を繰り返さないよう、新たな時代を切り拓き、真に社会と共にある科学技術・イノベーションを強力かつ戦略的に推進する。
(1)課題設定・解決力や創造力のある人材の育成
① 初等中等教育改革等
学校の臨時休業等の緊急時においても、安全・安心な教育環境を確保しつつ、全ての子供たちの学びを保障するため、少人数指導によるきめ細かな指導体制の計画的な整備やICTの活用など、新しい時代の学びの環境の整備について関係者間で丁寧に検討する。デジタル教科書・教材の活用、外部人材の拡充・ネットワーク化等を通じ、国・地方が一体となってGIGAスクール構想を加速し、児童・生徒1人1台端末、必要な 通信環境の整備、効果的な遠隔・オンライン教育を早期に実現する。教師のICT活用指導力の伸長、ICT活用方法等の支援、学習成果重視への評価の転換、教育データの標準化・利活用を進める。 子供の創造力を高め、その能力・特性や習熟度、地域の実情等に応じた多様で個別最適化された深い学びを実現するため、学年・学校種を超えた学びの拡充、異能・異才への指導・支援、STEAM教育や課題解決型学習(PBL)の充実、授業時数の柔軟な取扱いや小学校における教科担任制の導入など教育課程・教員免許・教職員配置の在り方の一体的検討を進める。豊かな感性・創造性を育む文化芸術や自然体験など子供の体験活動を推進する。
新学習指導要領におけるアクティブ・ラーニングや情報活用能力の育成、GIGAスクール構想の効果検証・分析を不断に進め、新たな評価手法の確立、成果や課題の見える化、EBPMやPDCAの取組も通じて、改革の徹底と質の向上を推進する。

(参考)令和2年第10回経済財政諮問会議
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2020/0708/agenda.html