【交流会レポート】「昼休みの500km先の友」(2025年1月14日~16日開催)

11月28日(木)「夢の実現~社会人・高校生に聞く~」に実施した小中高の3校と社会人との交流会の第二弾企画として、昼休みの10分間を活用したオンラインコミュニケーション活動を実施しました。
本レポートではその概要をお伝えします。

○参加学校

大阪府堺市立南八下小学校
東京都立南葛飾高等学校
千葉県八千代市立村上東中学校

○目次

(1)交流内容
(2)各学校の児童・生徒のようす
   ① 大阪府堺市立南八下小学校
   ② 東京都立南葛飾高等学校
   ③ 千葉県八千代市立村上東中学校
(3)まとめ
(4)最後に


(1)交流内容

 昼休みに各学校間でタブレットを接続して、児童・生徒が自由に会話できる場を設けました。11月28日に実施した第一弾交流会で児童・生徒のアンケートを受けて、多くの児童・生徒が発信する機会を設けるべく、本企画を実施しました。特に会話のテーマは設けずに、児童・生徒に委ねました。

(2)各学校の児童・生徒のようす

①大阪府堺市立南八下小学校
 6年生の3学級それぞれの教室より給食の時間にオンラインで接続しました。給食を終えた児童たちは、最初はカメラに近づくのをためらっていました。
 初日は、中学生や高校生がどのように映るのかを見極めるため、わざと自分たちが映らないようにカメラの横で様子を伺っていました。
 2日目と3日目になるにつれて、徐々に児童たちは勇気を振り絞り、カメラの前に出る姿が目立つようになりました。特に3日目には、ある学級の児童たちが率先して高校生に話しかけ、給食のおかずを画面越しに見せたり、様々な質問を投げかけたりなど、積極的な交流を始めました。他の学級の児童たちも、それぞれの画面からその会話に興味深く耳を傾け、共感や笑顔を交わす姿が見受けられました。終了後は「もうないの?」という惜別の声が上がりました。
 担任たちは、3日目にして児童たちが効果的なやり取りの方法を理解し始めたので、もし1週間続けていたら、さらに多くの児童が積極的に参加し、より充実した対話が成立していたのではないかと語っていました。
 オンラインでのこの経験は、児童たちにとって新たな自己表現の場となり、デジタルコミュニケーションの可能性を広げる貴重な機会となりました。

②東京都立南葛飾高等学校
 高校生は、先輩なので、小学生・中学生に対して自分から働きかけようとしていました。しかし、小学生・中学生の皆さんは、最初はなかなか反応を見せませんでした。すると、高校生たちは、【ことばで伝わらなければ、ボディ・サインで伝えてみよう】と、アニメの登場人物などのハンド・サインをカメラの前で演じ始めました。すると、小学生・中学生の皆さんがハンド・サインを真似しはじめて、そこから少しずつ交流が始まりました。
 大人たちは、「言葉による交流」しか考えていませんでしたから、ボディ・ランゲージを用いた交流には、本当に驚きました。しかも、これは極めて有効で、あっというまに児童・生徒同士で仲良くなることができたと思います。
 本校では、職員室前の廊下に機器を設置したため、先生方も多数、交流の様子を観ていました。本校でのICT教育の推進にとっても、とてもプラスになったと思います。
 高校生のなかで、リーダー的な役割を務めた生徒から感想が寄せられましたので、以下に掲載します。

 先日、東京都立南葛飾高校の代表として、ビデオメッセージを送りました。テーマは「高校生活の楽しさ」についてで、自分自身の経験をもとに話しました。その後、実際にZoomを通じて小学生・中学生と交流する機会もあり、とても貴重な経験になりました。
 交流の中で、まず感じたのは「元気」さです。画面越しでも、小学生・中学生たちの明るさや活発さが伝わってきて、むかしの自分を思い出しました。彼らは素直に話を聞いてくれて、時折うなずいたり、反応を返してくれたりして、話していてとても楽しかったです。
 また、「笑顔」が印象的でした。こちらが話す内容に対して、興味を持ってくれているのが伝わり、文化祭や体育祭の話をしたときには、特に楽しそうに聞いてくれていました。自分が高校生活で感じたワクワクや充実感が、少しでも伝わっていれば嬉しいです。
 そして、「懐かしい」と感じたのも、この交流の大きなポイントでした。中学生の頃、自分も高校生活に対して漠然としたイメージしか持っていなかったことを思い出しました。あの頃の自分に、今の自分が話しかけているような気持ちになり、不思議な感覚でした。
 小学生・中学生たちは「いい子」ばかりで、礼儀正しく、しっかり話を聞いてくれました。質問も積極的にしてくれて、関心を持ってくれたことがとても嬉しかったです。また、やりとりの中で思わず笑ってしまうような場面もあり、「面白かった」と感じました。Zoom越しではありましたが、リアルな対面のような雰囲気で、楽しく交流ができました。
 今回の経験を通じて、改めて自分の高校生活を振り返ることができました。そして、自分が楽しんでいる高校生活の魅力を伝えられたことが嬉しかったです。話を聞いてくれた皆さんが「高校って楽しそうだな」と思ってくれたなら、それ以上に嬉しいことはありません。今回の交流をきっかけに、みんなが少しでも高校に興味を持ち、楽しみにしてくれたらいいなと思います。

③千葉県八千代市立村上東中学校
 休み時間の中の実施で、周りが騒がしく互いの音声が聴こえない中での実施でした。1日・2日の生徒の様子は、ちょっと変な顔をしたり、手を振ったり、おーいと声かけたりと相手に気づいてもらうことに熱心で、あっという間に時間が過ぎてしまいました。3日目は、画面の向こうの児童・生徒の皆さんが、紙に言葉を書いて意思疎通を図ってくれました。本生徒もそれに応えるべく紙に言葉を書きコミュニケーションが成り立ちました。意思疎通が図れた時、自然と笑顔が溢れており、タブレットを手に持ち教室のようすを熱心に紹介していました。学校の休み時間は、友達と話しをする、本を読む、係活動をするなどですが、タブレットで遠方の友達と話しをする光景に違和感はありません。
 学校でのコミュニケーションのひとつとして可能性を大いに感じることができました。

(3)まとめ

 本校流を通して、学校という公の場で、児童・生徒のデジタルコミュニケーションの可能性を広げることができました。また、対面で出会ったことのない友との交流は、デジタル・シティズンシップ教育、自己表現を高める教育など学校教育の一環として取り組むことができます。今回の交流の経験を活かしてステップアップした取組みにつなげていきます。

(4)最後に

 ご参加いただいた皆様のおかげで素晴らしい交流会となりました。あらためまして感謝申し上げます。
 今後も引き続き教育現場の皆様にとって有益となる交流会を実施してまいりたいと思います。今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。