【交流会レポート】高校生との座談会!『今求められる教育×私たちが求める教育』(2022年6月21日開催、録画データ掲載)

6月21日(火)に「高校生との座談会!『今求められる教育×私たちが求める教育』」というテーマで交流会セミナーを開催しました。

高校生で起業家でもある河田様をお招きし、3名の登壇者の皆様とともに語り合いました。当日は、学校教育関係者はもちろん民間事業者、保護者、高校生など多彩な方々に多くご参加いただけました。

登壇者

合同会社M‘s company代表   河田 実瑠 様
柏市教育委員会 アドバイザー 西田 光昭 様
ICT CONNECT21フェロー つくば市立みどりの学園義務教育学校前校長 毛利 靖 様 
日本マイクロソフト株式会社 学校支援部会交流会サブ部会リード 侘美 千夏 様
※ファシリテーター
 ICT CONNECT21 GIGAスクール構想推進委員会 学校支援部会 交流会サブ部会長
 富士通Japan株式会社 應田 博司

目次

(1)私たちが求める教育 河田様よりご講演

(2)登壇者の皆様とフリートーク

(3)番外編

(4)最後に

(5)録画データ


(1)私たちが求める教育 河田様よりご講演

中学生の時に現在の会社を起業。各種サービス企画や中高生コンテストの企画運営をされているとのこと。そんな河田様が、中高生と関わる中で得た中高生の思いを語っていただきました。

河田様発表資料より一部抜粋

5つのキーワードを軸に具体的な思いを熱く語っていただきました。(お話の中より一部紹介)

  • 社会問題を学ぶことはあるが、その解決策を考え行動に移すという機会がない。
  • 社会に貢献できるチャンスの作り方を教えてほしい。チャンスを作る時間が欲しい。
  • 学校で学ぶ目的が見えずモチベーションが上がらない生徒がいる。
  • 教わるだけでなく、教えるという経験を通して学ぶことも重要では。
  • 学校内に留まらない多様な経験・価値観のもつ人々と関わる機会が欲しい。
  • いろんな選択肢があるということを子どもに示してほしい。

また事前に参加者よりいただいた質問に対しても丁寧にお答えいただきました。一部ご紹介します。

Q.1人1台PCのうれしいことは?
A.ありがたい。PCは塾でも使っているし、これからの社会で生きていくために絶対に必要と思う。だからこそちゃんと使えるようになりたい。ただ、目の疲れなど健康面への不安もあるので、そこも含めてうまく使っていけるようになりたい。

Q.校内の学びの格差の要因はどう考えるか?
A.なぜ学ぶのかということに対する理解度や認識の違いが大きいと思う。

Q.探求型の学習に関わって地域課題についてどう考えるか?
A.地域によって、地域に対する認識も異なる。都会で暮らす私の場合、あまり地域性を感じていない。逆に地域課題を強く感じている人もたくさんいると認識している。自治体の取組状況によっても異なる。

Q.1人1台端末活用が広がる中、教員も一人の学習者として学び続けることが大切と思うが。
A.先生もアクティブに動いてほしい。私たちも学校を飛び越えて、学校の実態を生徒同士で情報共有している。先生の中でもすごく勉強している先生は我々生徒も共感を持つ。生徒は先生の頑張る姿を見ている。


(2)登壇者の皆様でフリートーク

河田様のお話を踏まえ、登壇者の方々からご意見ご感想を述べていただきました。

西田氏
河田さんのお話は、今まさに教員が変わらないといけないと考え取り組んでいこうとする方向性と合っていると感じた。子どもたちに幸せになってほしい、そこにどれだけ力を注げるか、そのために何をしたらいいのか考えている。求める教育というキーワードから、義務教育の立場から言うと、自分で自分のやりたいことを決める、あるいはこれについてもっと調べたい、そういったことをできる子どもをどう育てていくか今まさに取り組んでいるところだと思う。こういったことに取り組む先生を広げていくことを今進めている。

毛利氏
大人が魅力ある存在になってないといけないと思った。夢を持つことを大人はいいねと肯定的に評価しているか。夢が変化していくのは悪くないが夢がないというのは今問題だと思う。また、河田さんのように課題意識をもって自分で切り開いていく、そういうことが大事だと思った。

またお話を伺って、インターネットが発達した今、同じ学年で学ぶだけでなく年齢は関係なく同じ課題を持つ人と学び合えればいいなと感じた。

侘美氏
事業者としてもいろんな取り組みをしている。学校での働き方改革、先生の教え方改革、子どもたちの学び方改革の3つの視点で取り組みを進めている。いくつかICTを活用した学校現場の事例を紹介。ICTが導入されることを通して、多様な学び合いができることを実感している。探究型の学習では、実際の社会課題の解決を目指した事例もあり、その取り組みを通じていろいろな力を生徒は習得している。

後半はフリートークを行いました。やはり一番の関心は、河田様ご自身の企業に至る経験等で、そのあたりを中心に河田様にお話を伺う形で進行しました。

Q.起業するに至ったきっかけは?
A.中学校で、勉強だけでは戦えないと思った。また、私は当時将来の夢がなかった。周囲の友達は夢があってそのために勉強していると感じてうらやましく思った。なかなか夢が持てない中、社長になることに少し憧れを持つようになった。そこから企業に関心を持つようになった。コロナ禍の中自宅で過ごす時間が多くなり、「企業」というキーワードから将来のことを考える時間が多くなった。いろんな選択肢がある中、いろいろやっている人は世の中でちゃんと活躍していると感じた。

最初は何をするかいろいろ悩み、事業計画書を書いては家族に見せた。そんな中、家族の人脈で民間事業者の方とも交流する機会があった。いろんな方のアドバイスの中で、「中高生だということを強みとしたほうがいい」と言われ、中高生の視点で困った経験を振り返り、今のビジネスを立ち上げるきっかけとなった。

Q.そういうことができる力を河田さんは持っていた、だからできたともとれる。となると、小学校・中学校でのどういう学びが力になったのか、河田さん自身としては振り返ってどう感じているか。
A.幼少期はいろんなことを挑戦できる環境にいた。幼稚園・小学校低学年のころは地域のイベントにたくさん参加していた。幼少期の経験は、いろんなことを挑戦することが当たり前になる素地になった。そこでコミュニケーション能力などもいろんな人と会う経験などを通して身に付けられたと思う。

中学校に入ると、習い事などやりたいことを見つけたときは、家族に対してなぜそれがやりたいのか、それをできる根拠はなにかをプレゼンして納得してもらえないとだめだった。やることが当たり前でなくなり、やったことに対しても責任を持つことを身に付けていったように感じている。

また、海外に留学した経験があり、いろんな国の人と交流する機会があり、年齢や国籍に関係なくしゃべる経験もできた。

Q.こういった取り組みをされている河田さんを周囲の生徒はどう見ているのか。また夢が持てていない生徒へのアドバイスはあるか?
A.起業したことはずっと周囲には言ってなかった。そんな中、高校2年生の時に生徒会長に立候補することになり、演説の時に起業していることを話した。その時は驚かれたが、SNSの応援アカウントを作ってくれて応援してくれる友達がいた一方、生徒会に出る際に良い反応でなかった人もいた。ただ、校内でも新たにつながりをもつ生徒もたくさんできた。普通科の学校である特性上、ビジネス的な話は控えるようにしている。ただ、ビジネスに興味のある生徒は具体的に質問してくれる。環境によって興味のあることは異なってくるので、そこに合わせて自分は何を求められているのかを考えつつ距離感をつかむのに苦労した。

参加者より
大変刺激を受けた。幼少期の経験がいかに大切かを改めて考えさせられた。


(3)番外編

終了後、登壇者で短い時間でしたがざっくばらんに会話しました。

今度ぜひ、起業した仕事の中身についてもお伺いしたい。企業とか提案とか、絶対楽しいはず。それを楽しいと感じられたとき、本物の学習といえるのでは。その学びの過程を通して多様な力を身に付けていけるのでは。そんな会話で盛り上がりました。


(4)最後に

短い時間ではありましたが、ご登壇いただいた皆様、そしてご参加いただいた皆様のおかげで素晴らしい交流会セミナーとなりました。あらためまして感謝申し上げます。今後も皆様にとって実りある企画を実施していこうと思いますので、宜しくお願い致します。


(5)録画データ

https://youtu.be/OVe6Z52oNlE