【GIGAスクール構想推進委員会 情報発信部会 自治体・学校情報発信サブ部会】7月座談会まとめ

「GIGAスクール構想推進委員会」情報発信部会では、月に1度テーマを定めた座談会を開催し、その内容を公開していきます。 
発言者を匿名とすることで忌憚のない自由な意見交換を行い、各自治体の個別具体的な課題の解決に向けた糸口を作りやすくし、児童生徒の1人1台端末環境の達成に寄与します。

今回は、「利活用のボトルネックがどこにあるのか?」をテーマに、自治体・学校の方に自由にご発言いただきました。
その内容をまとめたものを以下に公開しますので、ぜひご覧ください。


日 時:2021年7月15日(木)18:00~19:00
テーマ:利活用のボトルネックがどこにあるのか?


「人」がボトルネックになっているのではないかという意見がありました

A:
毎月オンライン会議をやっていて思うのは、意欲と能力のある人間が市町村で極端に差が出ているなと感じる。やる気のところは持ち帰りの実証実験とか進めていて、夏休みはしっかり持ち帰らせる準備ができている。保護者にも通知が行っているし、生徒にルールブック渡したりしているところもある。一方でいまだに端末が積み上げられているところもあって、たまたま今いる担当者のレベルがそのまま実際の状況に影響している。

B:
キーマンになる人がいるかいないか。管理職でも他人事と考えている方がいて、そういう自治体はなかなか進まない。意欲ある管理職の方は、例えば電子黒板の業者に自分で連絡してデモ機を貸してくれと交渉し、それを先生に使わせたりしている。

C: 学校間の差が大きな課題となってきている。リーダーシップをとる先生の意識の差であることが大きいが、進んでいる学校でも自治体の意向・意図と異なる方向となっている場合があったりする。

B: 現場の教員と自治体との意見が異なる場合、どのように調整しているのか?

C:
今回の「GIGAスクール構想」の意図や目的はどこにあるのか?という話を何回も繰り返し伝える。
予算も必要だし、検討に必要な材料をどう集めるのか、本当に必要なサービスはどれか?と問いかけていく。
ただ「欲しい」という希望に対して「具体的にどう使いたいのか」と質問すると、「こういうことをやりたい」と返ってくるが、「それは今あるこれでできますよね」「それが子供の学習や教育活動でどういう意味を持つのか」というところに話をもっていく。

「自治体間、学校間の差や違い」は本当に問題なのか、という意見がありました

C:
自治体間・学校間の違いはあってもよいが、そこに関係する人に不利益があってはよくない。
規模によって差はあるので同じようにはいかないけど、そこにいる子供たちが困らないようにしたいというのが原則。

A:
人口が少ない自治体とかだと教育委員会も人数が少ないところもある。そのようなところに、通常の業務に加えて教育ICTに関する膨大な業務をやらせるのは酷かなと思う。

B:
生徒の立場から見たら、どこに住んでいるかによって受けられるサービスが異なるのはよくないのかな、と考えている。街に住んでいる生徒も山に住んでいる生徒も学校に行けば同じ教育が受けられる、というのが理想。ただ人口規模の小さい自治体はやはり厳しい。
進んでいる自治体が「あれはあの自治体だからできることだ」と思われると、自治体間の差がついてしまう。みんなでどんどんやっていけたらいいですよね、と立ち居振る舞いたい。

C:
学校間の差は「学校の特色化」でもあるが、人によって情報の感度も異なるので、理解していただくのは難しい。

課題そのものを共有する必要性がある、という意見がありました

A:
教育に対する取り組みというものは、ひとつの自治体が抱えているものではない。全国で共有できるマニュアルがあると良い。例えばセキュリティポリシーの改訂は、どこが変わったか書かれていなくて、全国の自治体で何時間もかけて改訂前と改訂後を比較して「どこが変わったか」を確認する作業をしていると思うが、情報共有できれば何十時間・何百時間の業務時間が削減できる。
「最低限これは必要だよね」というチェックリストみたいなものもあれば良い。またこうしたマニュアルやリストは、全国の自治体から「より良い」情報が集まって日々アップデートされていくことが理想。
文科省のStuDXはきれいにまとまっているけど、いざ運用ベースになってくると日々想定外のことが発生するため、ゆるいまとまりであるほうが集まりやすいし、意見交換もしやすい。

C:
運用が始まると教育委員会も学校の先生も忙しくて、運用が始まったあとの情報交換がこれからの課題になる。「何が困っているか」解らない、という問題もある。課題がなかなか洗い出せないというところが最大の課題なのかもしれない。

B:
セキュリティポリシーを「今から定めます」という自治体もあり、参考として県のセキュリティポリシーをくださいと言われることがある。

C:
例文をそのまま写してしまうような場合、内容をきちんと理解して作られたのかという問題が残る。セキュリティポリシーは知見のない人には厳しい。

A:
県と各市町村が同一ネットワークを使用していると共有して作成しやすい。

C:
ネットワークのボトルネックが大きな課題になっている。学校の回線が負荷に耐え切れない。端末の事業者・校内ネットワークの事業者・外部ネットワークの事業者間の調整に手間取っている、うまく連携できないでいる。

A:
来年度当初予算の仕込みを始めているが、こういうときも全国で知見を共有できるフレームが欲しい。例えば調達担当でないと気付かないようなニッチなネタが欲しい。

自治体トップ(首長)もボトルネックになりうる? という意見がありました

A:
組織の問題もある。手続きに時間がかかったり、教育ICTに理解がないと、基本的な説明から始めて時間がかかってしまう。「なんでタブレットが必要なのか」と聞かれたことがある。

B:
自治体のトップが味方してくれると心強い。トップが別を向いている場合は、教育の優先順位が低い。

C:
自治体トップが「自治体が生き残るために自治体の政策として行う」と宣言し、自治体に人が入ってくるにはどうすればよいのか、そこで教育を取り上げてくれた。
自治体トップに何を期待するのか、という住民の声をどう集めるのか。一般紙に取り上げられてはじめて教育の話題に目が向けられるので、少しでも良いこと、良い方向に進んでいることを見つけて、それを大きく見せるようにしている。


いかがでしたでしょうか?
「GIGAスクール構想推進委員会」情報発信部会では、今後も「テーマを決めて座談会」を開催していきます!