【交流会レポート】立命館守山中学高等学校におけるICT活用の広がりの事例についてー主としてオンライン学習の取組に関してー(令和3年1月29日(火)開催、録画データ公開)

GIGAスクール構想推進委員会・学校支援部会・交流会サブ部会セミナーは1月29日(火)に開催され、立命館守山中学・高等学校 加藤智博先生をお招きし、ICT活用の広がりの事例についてお話いただきました。全国の教育委員会、教育関係者の方々を中心に70名を超える方々のご参加を得て、開催されました。

■開催日時:1月29日(金) 17:00-18:00

■講師:立命館守山中学高等学校 加藤 智博様

■講演テーマ:立命館守山中学高等学校におけるICT活用の広がりの事例について ―主としてオンライン学習の取組に関してー

目次

  1. 立命館守山中高でのコロナ禍におけるオンライン学習の取組について
  2. 加藤先生と参加者の皆様による意見交換会
  3. まとめ
  4. オンラインセミナー(交流会)録画データ

1. 立命館守山中高等学校でのコロナ禍におけるオンライン学習の取組について

2020年からの授業の展開概要

加藤先生は東京都内の教員を経て、2020年4月から現職。

コロナ禍においてオンライン学習を必要とする新しい職場でのスタート。5月11日からオンライン学習を開始。中学1年生はプリントで課題郵送、BYODをつかうことを周知。家庭に端末や通信環境がない場合は学校側で貸与。オンライン学習に必要な準備や周知を行い現在に至る。

オンライン学習を実施するにあたっての課題

5/11から教員も在宅という環境で、プライバシーはどのように守られるのかなど課題は多かった。

授業形態は1日40分1コマ 4時間 午後は自主学習。Youtubeは中学1・2年生は禁止し、3年生からの活用と制約を設けた。そんな中で先生との交流の中からアプリケーションの紹介などあり授業の導入時にKahootというアプリを使ってクイズ形式の問題を行う。アプリの活用機会も広がる

6/8~からは通常登校が始まる。教員の意識が変わる。学校の役割。学校に存在意義など、遠隔授業を行った経験から台風による警報発令時のハイブリッド型授業の話が興味深かった。

2. 加藤先生と参加者の皆様による意見交換会

質問を参加者の皆様よりチャットにてコメントいただき、司会の應田交流会サブ部会長のリードにより加藤先生と参加者の皆様による意見交換会を実施しました。

Q:立命館守山中高での端末の貸し出しは行ったのか?
加藤先生:学校所有のiPad、Wifi環境も学校がルーターを貸し出す。持ち帰り運用は現在も継続中。

Q:新入生へのモラル教育は?
加藤先生:例年4~5月に情報モラル勉強会を行うが今年はできなかった。オンラインにて9月頃。情報モラル授業をやらずにオンライン授業を始めてしまった。保護者からのクレーム等は、リアルタイムではなかったがアンケート結果を見ると苦言はあった。

Q:来年度1人1台 iPadを持たせるにあたっての反省点は?
加藤先生:いっぱいある。授業中に遊ぶ、パスコードを外す。破損。情報メディア室にスタッフが外注で3名常駐している。

Q:デバイスは持ち帰りか?
加藤先生:Yes。問題はたくさん。保護者、生徒を巻き込んでいろいろやっている。すべてを教員がやるのはむずかしい。子供を信じることも大事。

加藤先生からの「教師が全て教えるということでは追いきれない状況が始まる。技術の進歩の速度に追いついていかない。」「子供を守るための独自のルール。麹町中での話。校則をなくす。」といった話は非常に印象的でした。社会のルールに則りながら、時には警察の方も巻き込んで世の中での実情をともに学ぶ。生徒自身が考えられるよう教育を進めることが重要であると話されていました。

3. まとめ

昨年まで千代田区立麹町中で勤務されておられた加藤先生より、私立学校・公立学校での事例を交えながら過去の苦労話や今後の課題についてお話をいただきました。

今後のICT利活用を推進する上で、爆発的に増加するデバイスの運用管理が必須の状況は容易に想像され、その支援は現在進行形であり、加藤先生が勤務される立命館守山中高では3名の常駐者がいるとのこと。

今後、GIGAの運用が開始されるとインターネットトラブル、誹謗中傷あるいは有害サイトの利用、破損、盗難など想定できる範囲でもたくさんの課題があり、想定外のことも起こり得ると思われます。

今後の起こりえる課題について事前に対応できるもの、臨機応変に関係者を巻き込みながら、ともに環境を整備していくことが求められます。その中で、先生だけで整備するのではなく、子供たちを信じて、先生・保護者・子供たちとともに歩んでいくことが大事なことだと思われます。

この度ご登壇いただいた加藤先生並びにセミナー準備をしてくださった関係者の方々、そしてご参加くださった皆様、誠にありがとうございました。

4. オンラインセミナー(交流会)録画データ