【交流会レポート】GIGAスクール構想推進「調達・導入オンラインセミナー(交流会)」レポート(令和2年8月21日開催)

GIGAスクール構想推進委員会・学校支援部会主催の調達・導入オンラインセミナー(交流会)は、去る8月21日(金) に、文部科学省 情報教育・外国語教育課の窪田係長、文部科学省ICT活用教育アドバイザー事業事務局の高山様、柏市教育委員会アドバイザーの西田先生をお招きの上、全国都道府県の教育委員会の方々を中心に150名を超える方々のご参加を得て、開催されました。

目次

  1. GIGAスクール構想「流れの全体像」見える化の必要性
  2. GIGAスクール構想関係者一丸となって困っている自治体のサポートを
  3. GIGAスクール構想「流れの全体像」に基づく導入・運用一覧表の解説
  4. 対談
  5. おわりに

まず、GIGAスクール構想推進委員会 太田学校支援部会長より挨拶がありました。

GIGAスクール構想「流れの全体像」見える化の必要性

今回のGIGAスクール構想は、小中学生全員に1人1台の端末を与え、全員に1人1アカウントを発行し、最終的には教育クラウドを活用することを、わずか1年でやろうとしており国際的にも「前代未聞」である。この前代未聞の機会を成功させるべく、産官学が協働して学校現場の支援を実現していきたい。

その意味では、現場の皆様が一番お困りになっていることは、調達から運用に至る「流れの全体像」がよく分からないことだと認識しており、この全体像をご提示して、教育委員会、学校、産業界含めた皆で共通に話せる状態にすることが非常に重要である。これをICT CONNECT 21だけでやっても意味がないので、文部科学省と、文部科学省から委託事業で受けられたアドバイザー事業事務局に対して協業を申し入れ、今日はそのキックオフという形でご参加いただいている。

「流れの全体像」と申したが、情報収集、調達段階、導入段階、運用段階、検証段階、と長いスパンになっており、文部科学省から非常に多くの資料が出ている。特に導入・運用段階では、だれが、いつ、どのように動けばいいのかが分かりにくいという声が、我々に多く寄せられたので、この部分について「流れの全体像」を取りまとめようと、我々の部会で議論させていただいていた。

流れの全体像

議論の中で、今日、メインでお話をしていただける西田先生より、非常に有効かつ魅力的な話をもらった。GIGAスクール構想の調達・導入における「流れの全体像」として、西田先生がご所属されている柏市の調達・導入事例と、長年のご経験を踏まえると、作業タスクの一覧表という考え方ができるのではないか、ということで、大項目として、アカウントの管理から活用サポートという形で大きな流れを作ったうえで、それぞれの大項目に付随する作業をまとめていく形が良いとなった。今日は、西田先生から、この一覧表に関して原案という形でご説明頂く。


次に文部科学省 情報教育・外国語教育課の窪田係長よりご挨拶がありました。

GIGAスクール構想関係者一丸となって困っている自治体のサポートを

GIGAスクール構想は、皆様ご存じの通り、新学習指導要領が順次施行されていく中で、情報活用能力の育成をきちんとやる、学校におけるICT利活用をしっかりやるという話が謳われている。ICT利活用についても、1人1台の環境が実現されれば、子供たち一人ひとりの反応・ニーズを踏まえた授業展開がより一層可能になる、子供たちがどの授業でも情報の編集を常に行いつつ、多様な意見に簡単に触れられる、遠隔交流がやりやすくなるなどのメリットがある。

文部科学省としても、この手立てとして端末とネットワークの一体的な整備を行うために、GIGAスクール構想の実現として、令和元年度・令和2年度補正予算に必要な経費を盛り込み、進めさせていただいているところであるが、今、調達が一気に進んでいることや、ICT活用に慣れておらず対応に苦慮している自治体もあるため、教育委員会、学校の皆様だけではなく、事業者・関係者も一丸となって、ハード、ソフト、人材一体となって整備を進める必要がある。

先月OS事業者の協力を得て、キッティングのやり方について動画を作成し、公開したが、早速、自治体の方々から、今までの古いやり方しか知らなかったという声が、このタイミングでもあがってくる。よって、我々からの情報提供がまだまだ不十分だと強く感じている。また、文部科学省に対しても、そもそもドメインとは何か、アカウントはとらないといけないのか、という質問も、まだまだ沢山いただいている。文部科学省・アドバイザー事務局からの回答ももちろんさせていただくが、自治体の皆様から相談があった事業者においても、我々と同じ意図、同じ目線で、自治体をサポートいただきたい。

文部科学省としては、アドバイザー事業を中心に自治体の支援を進めているが、とにかく拾い上げたいと思っているのが、アドバイザー事務局にご相談すらいただいていない自治体である。明らかに困っている自治体があれば、我々にもどんどん情報提供をお願いしたい。

先ほどのGIGAスクール構想「流れの全体像」一覧表は、我々も非常に勉強になる。自治体によっては、進め方、タイミング、実施主体も変わってくるとは思うが、こうした形で一覧表示すると、抜け漏れの確認、タスク管理にも活用することができるのではないか。

ICT CONNECT 21を含めて今お聞きになっている教育委員会、事業者、その他関係者の皆様、一丸となって、このGIGAスクール構想を進めるべく、引き続き、ご理解、ご協力を賜りたい。


窪田係長からのご挨拶の後、西田先生から「GIGAスクールに基づく導入から運用時の作業タスク一覧表」を解説していただきました。

GIGAスクール構想「流れの全体像」に基づく導入・運用一覧表の解説

今、柏市の教育委員会に籍を置いているが、小学校の校長を退職した後、教育委員会のアドバイザーという形でお手伝いをしている。今回、GIGAスクール構想に取り組む中で、私たちも、何から手を付けたらいいかという迷いがあった。また、文部科学省のアドバイザー事業でご相談を受ける中でも、端的な1つずつのご相談は来るのだが、全体を見通して話をする必要があることを強く感じた。よって、この一覧表を、お世話になっている事業者、教育委員会、ICT CONNECT 21の部会の方々など、皆さんからご意見をいただきながらまとめてきている。

大項目について解説する。

まず「アカウント管理」がある。今回はクラウド利用前提のため、児童生徒、教職員も1人1アカウント持つことが欠かせない。そして、この環境で、児童生徒が学習すると、「学習記録」がどんどんクラウド上にたまっていくが、これをどのように扱っていくのか。クラウドを利用するために何をすべきか、学校・教育委員会が従来インターネットを利用してきた環境と何が同じで、何が違うのか、という観点での「基本管理」が続く。

学校の教育を良くするには、これまでの5か年計画で既に取り組んできている「周辺機器」や「基幹ネットワーク」と呼ばれるインターネットにつながる部分も取り上げていく必要がある。そして、今回のGIGAスクール構想の補助対象となる校内ネットワーク・WiFiなどの「ネットワーク」もやらないといけない。さらに、「クラウド」の運用をどうしていくか、そして、これまで経験したことがない台数が学校に入ってくる端末を、どう管理するのかという「端末管理」も今回の課題である。

更に、端末が入ってきた後は、それをどう使っていくのかという「活用サポート」も大事になる。GIGAスクール構想は、高速のネットワークをもとに、クラウドが使えるようにし、1人1台の端末を持つが、そこまではインフラである。そのインフラをもとに、どう活用していけるかが、この先最も大事になるため、大項目に挙げた。

調達から運用の「流れの全体像」

次に、それぞれの大項目の中で、どのような作業が必要になるかという観点で、作業対象をまとめたので解説する。一覧表の中では、導入時、随時、年次という頻度を選ぶことによって、作業対象を絞ることもできる。

「アカウント管理」では、まずどのようなアカウント管理をするのか、システムの問題もあるし、低学年の子供からIDパスワードを使わせられるのか、などを踏まえて、方針として決定する必要がある。導入時だけでも、アカウント管理として、方針の決定、ユーザーアカウント作成、それがきちんと動作すること、これらの確認が必要になる。さらに、実際にアカウントを使っていくためには、毎年変更が必要なものもあるし、転入出の扱いのような更新のことも必要になってくる。

「学習記録」は、クラウドというのが大前提だが、導入時だけでも、どこに、何を、どのように、蓄積して扱っていくのか、多様なクラウドのサービスをどう使っていくのか、という方針の決定が必要になる。方針が決まった後に、実際にどういったルールで扱っていくのか、例えば、子供たちが作った作品、先生が評価したもの、子供たちの学習記録、そういったものはどう扱っていくのか、などをまず決める必要がある。このルールに基づいて、データの運用を決めていく必要がある。そして、導入後は、毎年、卒業時の更新・削除や、転入生の取り扱いなど、随時発生するものも出て来る。

「基本管理」に目を向けると、導入時にはドメインの準備がある。これは、組織を特定するものとして、クラウドを利用するためには欠かすことのできないものである。しかし、学校や教育委員会は、ドメインを意識していないことが非常に多かったと思うので、確認が必要である。クラウドといっても、実際にどう導入し、運用していくのか。MDMという端末の管理ツールや、文部科学省から出ている3OSをどう選んでいけばいいのか。あるいは、ここで利用するアプリケーションをどうしていけばいいのか、子供たちが使う安全な環境を作るためのフィルタリングをどうしていけばいいのか。当初、端末利用は校内のみを考えていた自治体が多かったと思うが、今回の新型コロナのこともあり、校外で使うことも当然のようになってきているため、どう扱っていけばいいのか。さらに、毎年発生すること、その都度発生すること、がある。これらは、今回のGIGAスクール構想を実現するためには欠かせない要素の一つと言える。

次の「周辺機器」、これは既にあるものをどう活かすか、ということでもあるが、端末とクラウド環境、ネットワークだけでは授業はできない。大型掲示装置が必要だし、充電保管庫を使った端末の充電をどうするか、ということも問題である。学習を家庭でするのか、学校で全部するのか、そういったことを方針として、決めなくてはいけない。この周辺機器だが、今回のGIGAスクール構想では、充電保管庫が校内LANに付随するものと考えらえているが、それ以外は、GIGAスクール構想以前に、学校ICT化5か年計画で地方交付税として、すでに学校が整備しているはず、とされていることもある。これが整備できていない状態で、今回の端末導入を行ってしまうと、モノが入ったけど使えないという環境になりかねない。GIGA HUB WEBでも、この件に関するチェックリストを掲載している。周辺機器をどう扱っていくかについては、柏市でも、プリンタは1人1台端末を持つようになって使うのか、OSが変わったときに使えるのか、そのようなことも検討していく必要がある。周辺機器といっても、いろいろな要素がある。

そして「基幹ネットワーク」も、導入時にやっておくべきことがほとんどだ。これまで学校が扱ったことのない多くの端末が一斉に学校に入ってくる。これまでと同じインターネットの接続形態で使えるのか?子供たちの学習に支障はないのか?子供たちが動画を一斉に観ても大丈夫か?もし十分でない場合は、回線の工事や設定の変更なども必要になるというのが、この「基幹ネットワーク」である。

「ネットワーク」だが、校内LANは、今回のGIGAスクール構想の補助事業に含まれており、すでに取り組んでいる自治体もあると思う。一方で、従来の校内LANを活かす自治体もあると伺っている。その場合、本当に使える環境なのか、という確認が必要である。また、セキュリティのところに書いているが、ユーザーの認証や、子供たちが安全に学校の中からも外からも使えるようにするためにはどうすればいいのか。ここに、RADIUSという言葉が入ってきている。必要であれば、経費も必要になるが、そこまで厳密なことが学習系のネットワークで必要なのか。その辺は、セキュリティポリシーを確認しながら進めていくことになると思う。そして、随時発生するものとして、トラブル対応をどうするのか、無線LAN・アクセスポイントも変更が発生する可能性がある。フィルタリングについても同様である。学校の環境が変わる、校舎の作りが変わる、学級で使う教室が変わる場合は、対応が必要になる可能性がある。

その次の「クラウド」に目を向けると、導入時に、学習記録、つまり学習ログをどう記録していくかも大きな問題である。ただ、学習記録を残すのではなく、それをどう運用できるか、学習指導に活かせるか、子供自身の学び・個別最適化した学びを構築するために活かせるかどうか。色々なクラウド上のサービスを使う際に、シングルサインオンといわれる一回ログインすると、他のサービスも使えるようにするのが望ましいのか、先ほどお話ししたRADIUS認証をどうするか、などを検討する必要がある。

次に「端末管理」は、導入時に各自治体で検討されていることが多いと思う。MDMという端末を管理するシステムも含めて、導入設定をどうするかという欠かせない要素がある。端末を設置する際の仕事も発生してくる。そして、全部を見通すと、年中発生する作業が多くある。例えば、MDMの管理でも随時発生すること、OSのアップデート、あるいは端末のソフトウエアの不具合対応、バージョンアップ等などの作業が発生する。また、保有状況として、備品としての端末リストをどう取り扱うか、という作業もある。年度ごとに、学校の子供の数は変わるので、端末の台数を増やせるのか、そのための予算はどう確保するのか、という検討も必要だ。そして、「活用サポート」は、少なくとも導入時の研修と同時に、活用をサポートする体制が必要になる。

今お話しをさせていただいたのは、GIGAスクール構想に基づく導入・運用に、どのような作業が必要だろうか、ということを一覧化したものである。これは、企業の方をはじめとする色々な方に伺いながら埋めたが、自治体や学校の環境によっては、全て同じとは限らない。例えば、ネットワークについても、LTEを使うところは、作業内容が大きく変わる要素がある。それぞれの自治体の状況に応じて検討すべきだし、自治体の中で体制ができているかも大きい。

教育委員会が負うべき責任、学校が負うべき責任がはっきりしてくると、だれがどこでやるのかが見えてくる。今、色々なニュースを見ていると、教育委員会が組織編制をして、このGIGAスクール構想が実現できるよう、人員を増強したり、特別なポストを作ったりする動きもあるが、このような組織づくりも欠かせない。あるいは、学校の中の組織づくりも欠かせない。ICT支援員といっても、各自治体で仕事の内容がかなり違う。そういったことも踏まえて、今後の課題として相談していかないといけないが、少なくとも、どんな仕事が発生するのかということだけ、まずは挙げさせていただいた。


次に、西田先生と、日々、全国の自治体・教育委員会からGIGAスクール構想に関する問い合わせを受けている文部科学省ICT活用教育アドバイザー事務局の高山様で対談していただき、一覧表の有用性や、アドバイザー事務局との連携等について掘り下げていただきました。

全体を見通した一覧表は、自治体・教育委員会の皆さんの羅針盤として有効

高山:今日、西田先生から説明していただいたものは、何もないところに新築で家を建てるとしたら、これぐらいやることがある、という総量だと思います。

今、アドバイザー事務局にお電話をいただく場合には、どこから手を付けていいか分からないという教育委員会の方も多数いるし、うちとしては半分家が建っているので、この部分だけリフォームしたい、入れ替えたい、という質問も結構あります。また、どこから手を付けていいか分からないという質問でも、アドバイザーの方が話を聞いてみると、家の一階部分はできているので、2階部分のここですね、とか、ここをリフォームすればいいのか、などが分かる場合もあるので、教育委員会によってケースバイケースという印象を持ちました。

よって、それぞれの教育委員会がどのフェーズかということが、今日、西田先生作成の一覧表で、随分と明確になったと思いますので、大変感謝しています。この一覧表はまだ完成形ではないと思いますが、皆さんの羅針盤になっていくと思います。

アドバイザー事務局への問い合わせで、自治体の現在の位置ややるべきことの把握を

西田:高山さんからお話いただいたように、自治体によって、一覧表の中で、これは既にできている、というところも少なくないと思いますが、うちの自治体はどういう状況なのか、どこからやらなくてはいけないのか、を誰がどのように判断したらいいのでしょうか。

高山:これは非常に難しいですが、アドバイザー事業に相談いただいた際に、各自治体の状況、フェーズに応じて、120人以上いらっしゃるアドバイザーの方を、悩みながら自治体にご紹介しています。端末調達が忙しかった時は、それに関する質問が多かったし、GIGAスクールサポーターはどう使えるか、といったように、時期によっても質問が随分変わってきているので、本当にケースバイケースだと思います。よって、アドバイザー事業に質問していただいた方が、きちんと、状況に応じたアドバイザーの方をご紹介できると思います。

全体を見通すと、GIGAスクール構想の予算では足りない部分も見えてくる

西田:アドバイザー事業への質問は、今困っていることに関する質問が多いのでは、と思います。先を見通して、将来こうしていきたいから、今ここをこうしておいたほうがいい、と考えていく必要があると思い、このような一覧表を作成したのですが。

高山:西田先生のおっしゃる通りで、はじめから2階建ての家をこう建てたいという設計図があった上での取り組みであるべきですが、慌てて整備するケースもあります。あと、西田先生が作成した一覧表の中で、今、既にあるものもあれば、今回のGIGAスクールの予算を使えるものもあり、GIGAスクールの予算は使えないものもあります。アドバイザー事務局では、今のGIGAスクールの予算で今年度手当するのはこちらになる、というお答えが多くなってきています。

西田:実際、教育委員会に聞いてみると、GIGAスクールの予算だけでは足りない部分が自治体によってかなり違います。私も何件か、アドバイザーとして他の自治体のお話を伺うと、このようなご相談からしなければならないこともあります。

高山:おっしゃる通りで、GIGAスクールの予算は、4万5千円端末は最低限で、もっといい端末を入れてもいい、という制度なので、アドバイザー事務局としても、非常に回答が難しいです。

西田:私は4万5千円端末でできることを考える、というのも一つの方法ではないかと思います。自治体に潤沢にお金があって、もっと高スペックの端末を買えるのであれば、考えていただければ良いが、4万5千円の端末予算の中でできることは何か、と考えるのも一つの方法だと思います。この範囲でできないことは、やはり自治体で何らかの対応が必要かと感じます。4万5千円の端末予算で、ある程度はできますが、コンテンツなどはやはり必要になるという気がします。

全体を見通したうえで、アドバイザー事務局に相談しながら、いつだれが何をやるかの明確化を

高山:アドバイザー事務局で色々質問を受けていて思うこととして、西田先生は、最後の完成形まで見えている教育委員会の方だと思うのですが、今回のGIGAスクール、それに加えて学びの保障もあり、体制づくりが非常に大変だと思います。つい3月まで、全然違う部署にいたという方からのご質問もあるので、やはり、西田先生の一覧表のような全体像が見えているのは、とても大事かと思います。

西田:やはり、この一覧表をどう煮詰めていけるかが、ICT CONNECT 21の活動として大事だと思います。この一覧表は、あくまでも全体を見ようとしたものであって、自治体によって違うことも含め、何からどう手をつけていくのか、最初にまずやらないといけないことは何か、はじめはここ、その次にはこれ、みたいなものが示せると良い、と感じています。

高山:おっしゃる通りです。あと、もう一つ、大事な時間軸に加えて、誰がやるのか、教育委員会がやるのか、学校でやる話なのか、ご家庭の問題なのか、なかなか判断がつきにくいと思っています。

西田:私も、誰がやるのかは一概に決めきれないところではないかと思います。各自治体の仕様書を見させて頂くと、自治体によって求めている内容がかなり違う、あるいは、すでに自治体が持っている要素もかなり違います。そういう中で、この仕事は必ずこの人がやる、というのは決めきれず、それぞれ自治体の中で変わってくると思いますので、その辺のご相談は、アドバイザーにしていいのでしょうか?

高山:もちろんです。特に、アドバイザー事務局でお答えしているのは、GIGAスクールサポーターの予算はこれに使えるのか、ICT支援員にここまでお願いしていいのか、など、予算のことに関してよくご質問いただくので、補助要綱に照らして、お答えさせていただいています。

全体を見通した一覧表が、自治体に気づきやヒントをもたらす

西田:誰がやるのかが大きな話題になる場合があります。8月を目指していた自治体は、すでに導入が済んでいるところもあるので、この一覧表を見て、これをやっておけばよかったという気づきや、少しでも急ぎたいからまずここをやろう、というヒントになると良いと思います。

高山:あと、冒頭の文部科学省の窪田様からもお話がありましたが、まだアドバイザー事務局にお問い合わせいただいていない自治体が、何をやっていいのか分からない、という可能性もあるので、アドバイザーの先生方とともに、どうやってアドバイスをしていくか、ということが、我々の今一番の課題です。

西田:そうですね。私も、ここ何年間かお手伝いさせていただいてきて、困っていると手をあげられるところは良いのですが、何が困っているか分からない、という自治体の方に、こういったことができていますか、と問いかけるために、このような一覧表があると良いと思っています。

高山:本当にこれはありがたいと思っています。もう少し知られないといけないですね。

困った時やヘルプデスク等の体制づくりに関しては、まずはアドバイザー事務局に相談を

西田:また、一覧表を見ていただくと分かるように、ICT系をやっている人にとっては当たり前の用語が、一般の事務をやっている行政の方とか教員にとっては、当たり前じゃない場合が多々あります。このギャップをどう埋めていけるかも、気になるところです。

高山:一義的には、我々のアドバイザー事務局は電話もメールも公開しており、無料で相談の受付をしていますので、何を聞いたら分からないという方も、ぜひご活用いただきたいです。

西田:やはり、こういった用語が出てきた時に、分からない時は聞けるということも、大事な要素ですね。

高山:おっしゃる通りです。まさに、アドバイザー事務局としてヘルプデスクの役割をしないといけないです。

西田:このヘルプデスクは、今はアドバイザー事務局ですが、将来的には、教育委員会等が、そこも考えていかないといけないのでしょうか。

高山: GIGAスクールサポーターという、今年度だけの予算がありますが、GIGAスクール関連のプロジェクトがうまくいくように様々なお手伝いをする方という位置づけですので、例えば、教育委員会で、GIGAスクールサポーターを使ってヘルプデスクを作るということは考えられるのではないでしょうか。

西田:やはりそれが求められてくるでしょう。今、私は、柏市のお手伝いをしていて、市教委の中でもそういう問い合わせはかなりあります。ソフトウエアのアップデートを今日実行したが、なかなか端末に適用されない、どうしたらいいのか、とか、こんなメッセージが出ているがどうしたらいいのか、という質問が、毎日10件以上は来ています。このような時に対応できる体制も、教育委員会では求められており、そこで活用できるのが、GIGAスクールサポーターやICT支援員ということでしょうか。

高山:特にGIGAスクールサポーターに関しては、導入後だけでなく、導入前にも使うことができるので、是非ご活用いただくと良いと思います。

西田:導入前というのは、検討段階と考えてよいでしょうか。

高山:今年度限りの予算だが、検討段階からご利用いただけます。

西田:今日、私から一覧表を提示し、この後、ICT CONNECT 21からも公表されると思いますが、この一覧表を見たときに、これってどうなのか、という際に、GIGAスクールサポーターにお願い、相談をしていく体制でも良いということですか。

高山:GIGAスクールサポーターは、教育委員会がどういう計画をして使うかに依るので、教育委員会によって少し変わってくると思います。どうしたらいいのか、という質問は、アドバイザー事務局に問い合わせいただければと思います。無料だし、即答はできないかもしれないですが、必ず回答は差し上げています。

西田:そうすると、まずは困ったら、まずアドバイザー事務局に聞いてみるということが、大事なスタンスということですね。

高山:一義的には、まずはそうしていただけるのが一番かと思います。

西田:その後の体制づくりなどについても、必要があれば助言したりとか、サポートしたりするということでしょうか。

高山:アドバイザー事務局でアドバイス、サポートもするし、GIGAスクールサポーターという制度があるのでご利用できる、という案内もしています。

西田:そうすると、このGIGAスクール構想の導入から運用に向けて、色々な問題が生じてくるときに、まず、アドバイザー事務局のほうに、相談してみるのが、第一歩としては大事だということですね。

高山:そうしていただけると、一番、最初の取っ掛かりになると思っています。

一覧表の今後の展開とアドバイザー事務局との連携について

西田:應田さん、この一覧表はGIGA HUB WEBのQAにも掲載されますか。

應田:これから一覧表の精査を繰り返していきながら、GIGA HUB WEBのQAに詳細情報を載せていきたいと思います。

太田:西田先生、一覧表では表現できないところが結構ありますので、学校支援部会のQAサブ部会で、そのような部分を整え、用語集も含めた形で、GIGA HUB WEBに公開することでサポートさせていただきます。

西田:そうすると、まず、アドバイザー事務局に相談することも必要だし、なかなか質問しにくかったらGIGA HUB WEBのほうであたってみると、QAにのっていることも少なくない、という考え方でよいでしょうか。

太田:自治体・教育委員会からの問い合わせがワンストップになることが望ましいと思っており、今日がそのキックオフだと思います。アドバイザー事務局側なのか、私どものGIGA HUB WEB側なのか、問い合わせ先が複数あるのも問題なので、その連動性も含めて一緒に協業できれば良いというのが、今回のご提案になります。

高山: GIGA HUB WEBは非常に情報量多いので参考になりますが、掲載内容には、文部科学省の予算が使えないものもあり、ミニマムではないところもあると思います。まさに、EdTech、未来の教室と同様に、使う自治体もあるし、使わない自治体もあると思います。よって、アドバイザー事務局では、必要最低限のベーシックなものを教育委員会の方にアドバイスさせていただくことで、全体の底上げのお手伝いをさせていただいています。

太田:そういう意味で連携できればと思うのでよろしくお願いします。

高山:それはぜひお願いします。


おわりに

対談の後、オンライン会議のチャットに届いていたコメントの紹介を行いました。西田先生が解説された一覧表が欲しい、一覧表の用語を解説する用語集が欲しい、一覧表でGIGAスクールの予算対象・非対象が分かるようにした方が良い、アドバイザー事務局に寄せられた問い合わせをまとめて参考事例として公表して欲しい、など多くのコメントを頂きましたので、今後の学校支援部会の活動に活かしたいと思います。

その後、OS毎のキッティングに関する解説を、学校支援部会所属の各OSベンダー担当者から説明させていただきました。この詳細については、OS別の導入・運用セミナーを9月16日から18日まで開催されるEDIXで開催(オンライン同時開催)予定です。詳しくはこちらをご覧ください。

最後に、今日の主催者、ゲストの方から挨拶をさせていただき、閉会となりました。

太田学校支援部会長

何度も言っているが、今日はキックオフとして、ご無理を言って、文部科学省の窪田様、アドバイザー事務局の高山様にもご参加いただいた。学校を支援するということで考えると、立場を超えて、みなさん協業しながら連携して支えていくことが非常に大事だと思うし、そのラブコールに応えていただいたと思っているので、ここをスタートに連携を強化させていただければと思う。

西田先生作成の一覧表を宝として育てていきたいが、今日登壇したのは文部科学省、ICT活用教育アドバイザー事務局、OSメーカーだけだが、他にも色々な方がいらっしゃる。特に受け手の教育委員会が、主体的にこの表を変更、加筆していくことが重要だと思うので、みなさんの声を入れて一緒に高めていければと思っている。今日聞いていただいている方にもご協力をお願いしたく、学校支援部会にご参加いただければと思う。

毛利学校支援副部会長

今日皆さんお聞きになって、チャットでも、西田先生の表が欲しいという方もたくさんいらっしゃって、いろんな意見もあると思うが、我々が考えなくてはいけないことは、日本が本当に世界から遅れていて、このチャンスを逃したら、もう二度と、世界のリーダーからは転落してしまう。なので、文部科学省から言われたから入れるというのではなく、子供たちにどういう力をつけさせてあげたいのか、どういう人になってほしいのか、というのを、これをもとに考えていただけるきっかけになったと思う。私もICTアドバイザーになっているので、ぜひ、一緒に皆様と考えていきたいと思う。

文部科学省 情報教育・外国語教育課 窪田係長

貴重なお話をたくさん聞かせていただきありがとうございます。毛利先生が最後におっしゃっていただいたこと、しみじみ感じている。ただ入れるだけではなく、子供の顔を見ながら取り組んでいただきたい。厳しいスケジュールであるとは思っているが、我々もやれることはなんでもやらせていただくので、困ったら、まずは文部科学省アドバイザー事務局、事業者の皆様にご相談いただければと思う。引き続きよろしくお願いします。

ICT活用教育アドバイザー事務局 高山様

今日はみなさんありがとうございました。本当に太田さんおっしゃる通りキックオフで、とにかく、GIGAスクール元年であり、まだ何にもはじまってない段階なので、ぜひ皆さんと一緒にいいものを作り上げていければと思っている。今日はありがとうございました。